O−157対策 消費者用Q&A


食肉をおいしくて安心して召し上がるために

●肉の料理方法には、大別して「焼く」「ゆでる」「煮込む」「揚げる」「蒸す」の5つの方法があります。網焼きやフライパン焼きなど肉は高温に熱せられた鉄板や空気に触れることによって表面温度が200℃を超え、油で揚げる場合には表面温度は180℃程度になります。また「ゆでる」「蒸す」料理については表面温度は100℃程度、「煮込む」料理についても、表面温度は75〜100℃程度になります。
●このように、「焼く」「揚げる」料理は表面が高熱にさらされること、「ゆでる」「蒸す」「煮込む」料理についてはじっくりと熱を加えることになるため、肉の表面は十分に火が通った状態になっており、安心して食べることができます。
●ハンバーグなど挽肉を使った料理の場合は、内部まで十分に火が通るようよく加熱して下さい。


O-157対策 消費者用Q&A

「豚や鶏は大丈夫?」「ステーキは?」
消費者の皆様の食肉に関する疑問にお答えし、お肉料理をおいしく、安心して召し上がって下さい。
必要かつ大切な知識をマスターし、毎日の食卓にぜひご活用ください。



O−157はもともと牛の腸内にいて、牛肉から広がったといわれていますが本当でしょうか?
病原性大腸菌O−157を含む大腸菌は、ヒトを含む動物の腸管内に存在する腸内細菌のひとつで、平成2年9月埼玉県において飲料水として利用された井戸水が食中毒発生の初めての事例です。最近の食中毒発生の中では、おかかサラダや牛生レバーが原因食材として疑われていますが、それ以外では堺市の事例を含め今のところ不明のままです。アメリカで加熱不足のハンバーグ他、野菜やジュース、飲料水、また湖での人から人への感染事例が報告されています。

豚・鶏の腸内にはO−157はいないのですか?
O−157の調査で、わが国では牛以外の家畜から発見された例はありませんが、海外の調査では牛の他にも羊からの発見報告があります。しかし豚・鶏からの発見報告はないようです。

食肉を安心して食べるにはどうすればよいのでしょうか?
O−157は非常に熱に弱く、75℃で1分以上加熱すれば安全です。肉を加熱調理する方法には「焼く」「ゆでる」「煮込む」「揚げる」「蒸す」の方法があります。O−157は肉に付着しても中まで入り込むことはありませんので、表面の十分な加熱が重要です。「焼く」「揚げる」料理は表面が高温にさらされますし、「ゆでる」「蒸す」「煮込む」料理は、じっくり熱を加えるために、いずれの方法も肉の表面や中まで十分に火が通り(ピンク色状態)、安心して食べることができます。
(※参考 O−157は、75℃において数秒で死滅すると言われてますが、十分な安全度を見込んで1分以上の加熱をおすすめします。)

75℃1分以上とは肉でいえばどのような状態ですか?
肉に含まれるミオグロビンといわれる色の付いたタンパク質の一種は、75℃付近の温度帯で変化し、肉色が赤紫色から茶褐色に変わります。また筋肉中のグロブリンやアルプミンなどのタンパク質は熱により凝固し、肉の外観が硬くなります。いわゆる、肉に火が通った状態がこれです。この程度までの加熱調理で、O−157は死滅します。

生肉に触れたまな板や包丁や手はどうすればいいのでしょうか?
肉に触れたまな板、包丁は熱湯(83℃以上)か、殺菌効果のある洗剤等で消毒してください。使用しない時は、乾燥した場所で保管してください。また、肉の調理前後には、手をよく洗って下さい。

牛肉のたたきや、ローストビーフは安全でしょうか?また、その理由は?
市販されている牛肉のたたき、ローストビーフはいずれも表面を十分に加熱するため、安心して食べることができます。

ハム・ソーセージは安全でしょうか?また、その理由は?
食品衛生法に基づき、ハム・ソーセージの製造時には、63℃で30分以上の加熱が義務付けられていますので、この過程で食中毒の原因でもある最近は死滅します。また、製造後の流通過程においても低温流通が行われており、品質保持期限も十分に余裕を持って設定されておりますので、これをめやすに開封後は出来るだけ早く消費される方が安心です。

ハンバーグ、肉だんご等ミンチの加熱調理の際の留意点はどんなものでしょうか?
食肉加工メーカーの製造・販売されているハンバーグ、肉だんご等加熱調理済みの食肉製品は、食品衛生法に基づき中心部まで63℃30分間加熱される方法、または同等の効果をあげる方法により殺菌されてますので、細菌は死滅します。また、家庭で作るハンバーグ、肉だんごの加熱方法は、肉から赤みが消える状態まで加熱すれば細菌は死滅します。この点に注意して調理することが大切です。厚みを薄くして火を通りやすくしたり、電子レンジ等で十分加熱し、内部まで火が通るようにしてください。また、加熱後はすぐに食べていただき、どうしても保存の必要がある時には、冷蔵庫での保管が大切です。

ステーキはレアでも大丈夫でしょうか?
牛肉ステーキは、200℃近い高温の鉄板の上で焼かれるため、十分表面に火が通ります。O−157は十分な加熱で死滅しますので、レアにおいても表面が十分加熱されていれば安心して食べることができます。

冷しゃぶは大丈夫でしょうか?
冷しゃぶは、薄切りにスライスした肉を熱湯でゆでてから冷やしますので、表面はもちろん中まで十分に火が通っているため、問題ありません。

レバー等の内臓は安心して食べられますか?
大腸に存在するO−157を含む大腸菌は、本来レバーには存在しません。たとえ処理過程に置いてレバーにO−157が付着することがあっても、肉と同様の表面を良く焼けば安心して食べられます。またその他の腸などのモツについても、出荷段階でボイルされるものは、その時点で殺菌され調理の段階で十分火を通せば心配はいりません。いずれにしても、内臓類は痛みやすい物なので、鮮度の良いものを選ぶことが大切です。

熱に弱く75℃1分以上の加熱で死滅。
調理には十分な加熱を
まな板・包丁・食器等は熱湯で十分消毒し、手も十分洗いましょう。
調理済み食品は速やかに食べ、残りは冷蔵庫にて低温保存を。




病原菌・ひと口知識

サルモネラ菌
 サルモネラ食中毒は欧米では最も発生件数の多い食中毒で、O−157と並んで2大食中毒になっています。食中毒対策の多くは、この2つに対して行われています。そして、日本でも数年前から急に増えてきています。動物の消化管にひそみ、肉・卵・ミルクなどが主な原因になります。また、二次的にすべての人間の国に入る食品や調理器具からも汚染されます。また、よく卵の殻に付いているので、生卵を食べるときに記を付けるように、といわれています。これは事実なのですが、日本人は生卵を食べてもサルモネラ中毒にあまりかからないので、欧米では不思議がっています。しかし、最近のサルモネラは環境に合わせて変異してきており、卵の黄身の中にいる物まで発見されいます。また、動物にストレスを与えるとサルモネラが増えるという研究結果も出ています。予防には、肉・卵の除腺や、すべての食品に対する二次汚染の防止、食器・調理器具などの消毒が必要です。サルモネラは加熱で簡単に死滅しますので、調理して食べれば問題有りません。

黄色ブドウ球菌
 黄色ブドウ球菌は、顕微鏡で見ると果物のブドウのように見えるところからこの名前がつきました。このばい菌は、おでき・にきび・傷などの化膿したところにいます。かなり前ですが、ジャンボジェット機の乗客の半数近くが急性食中毒にかかった大事件がありました。死亡者は出なかったのですが、この原因が黄色ブドウ球菌でした。機内食のサンドイッチに入れるハムの作業をする人の中に、ペットのオウムに手を噛まれて傷をしている人がいたのです。この人はバンドエイドをしただけで、ゴムサックをしないでハムを触っていたために、たくさんのハムを汚染してしまったのです。この従業員の傷をマネージャーは知っていたのですが、黄色ブドウ球菌のっことを知らなかったので注意をしていなかったのです。作業をする人が怪我をしていたり、にきびが多い人がいたりしたら要注意です。指の怪我なら作業をしないことです。どうしてもしなければならない場合は、傷口をよく消毒をしたうえに、しっかりとゴムサックをして、さらに十分に手と腕全体をよく洗い、さらに消毒をしてから作業室に入って下さい。膿を伴ったニキビの人は、作業室に入れないことです。症状は、30分から3時間ぐらいで、嘔吐・腹痛がおきます。症状は一過性で回復は早く、重症になることはあまりありません。









家畜衛生支援指導コーナーへ戻る

熊本県畜産広場へ戻る