平成15年度削蹄講習会

1.目的
 削蹄講習会を開催することにより子牛の商品価値の向上と子牛市場出荷までの発育状況の促進と子牛の調教を実施することにより矢部・清和地域の子牛を揃えて出荷することにより産地づくりを高め繁殖経営における定期的な削蹄により繁殖率の向上を目的とする。

2.主催
 熊本県畜産農業協同組合城南支所(矢部)

3.共催
 (社)熊本県畜産協会

4.開催期日
 平成15年11月28日(金)午前10時

5.開催場所
 上益城郡矢部町下市「熊本県畜産農業協同組合城南支所」(矢部)

6.参集範囲
 矢部清和黒牛研究会会員 約20名

7.開催内容
 繁殖牛の削蹄のやり方
 子牛の削蹄のやり方

8.講師(削蹄師)
 菊池市 岩永宏氏
 菊池市 柴田正二氏

  
  
  
  






■■■  平成15年度熊本県畜産関係業績発表会  ■■■

平成15年度11月27・28日
菊池郡合志町 熊本県農業研究センター



平成15年11月28日 13:50〜14:10

■■■  阿蘇地域における草地資源利用技術の再構築  ■■■
(リモートセンシングによる地理情報システム化)

社団法人熊本県畜産協会 米川康雄

阿蘇地域における草地資源利用技術の再構築(リモートセンシングによる地理情報システム化)−宇宙から診る−

1 背景
  1. 阿蘇地域は約25,000haの牧野面積を175の牧野組合で管理されていること
  2. 近年繁殖雌牛の減少、担い手不足により牧野の維持管理に大きな影響がでるようになったこと
  3. 牧野利用等を促進するため土地利用の現状把握と省力化が重要となったこと
2 事業のねらい
  1. 自給飼料の生産拡大のためには、草地や放牧地での生産性を如何に高めて行くかが課題であったこと
  2. 担い手不足に対応した、合理的な草地管理を実現するために問題解決しなければならないこと
  3. 地理情報システムの畜産的利用を開発し生産性の高い大家畜経営を確立したいこと
3 事業内容
事業名:草地畜産高度化技術実証開発事業
(1)省力的放牧牛管理機械実証調査
 遠隔モニタリング等を活用した省力的放牧牛管理機械の性能、実用性等を調査実証する。(放牧牛発情発見自動通信機、移動式連動スタンチョン、移動式草架)

(2)地理情報システム構築
効率的な草地管理を実現するため、草地情報について地理情報システムとして開発し、その実用性を調査実証する。
<遠く離れたところから見るには、航空機、人工衛星>
◆人工衛星の軌道
人工衛星の軌道


◆人工衛星による地球の観測
[リモートセンシング]
LANDSAT(LS)5号
特徴

・一度に広い範囲を
・短期間に地球全体を
・同じ場所を繰り返して
・見たい状況を壊さずに
・質の揃ったデータが

地球観測のしくみ

◆阿蘇草原の火入れ(野焼き)
野焼き 目的:
(1)低木の発生を抑える
(2)野草の芽吹きを促す
知りたいこと:
(1)総面積は?
(2)経年変化は?

◆ランドサット画像で診た野焼き領域

<TM / LS,’97/4/1,R5,G4,B3>

<TM /LS ,’89/4/27,R5,G4,B3>
※ 地図と重ね合わせた幾何補正画像


◆阿蘇郡の牧野管理組合位置図と野焼き実施領域の対応関係

<地図データをデジタル化>

<LS/TM、1997-04-01から抽出>

<二つの画像は、重ねて表示できる>←GIS表現

◆野焼き領域の面積の評価
<野焼き領域(1997年4月1日)の3D表示>
<野焼き領域(1997年4月1日)の3D表示>
【阿蘇郡の面積:119,881 ha 】から1画素の面積が知れる
1997年4月1日のLS/TM画像から求めた結果:14,457 ha
1994年、大滝・那須両氏が目視調査によって求めた結果:10,830 ha
1998年、(財)阿蘇グリーンストックによるアンケート調査結果:16,457 ha


◆2001年の野焼きの画像
2001年の野焼きの画像
<ETM+/LS−7,2001/04/04>


◆牧草地を蝕む チカラシバ侵入領域の調査
<2002年10月5日、阿蘇/狩尾牧野>
<2002年10月5日、阿蘇/狩尾牧野>


◆最新の測定装置:分光放射計の導入
(先ず、標準反射体を測定して、 基準値を得る)
(先ず、標準反射体を測定して、 基準値を得る)
(広い範囲を調べるために 高いところから測定)
(広い範囲を調べるために 高いところから測定)


◆チカラシバの侵入による反射スペクトルの変化

@良く管理された牧草地(02-10-05)

Aチカラシバが侵入した牧草地(02-10-05)

B割と良く管理された牧草地(02‐11‐05)

Cチカラシバが侵入した牧草地(02‐11‐05)

◆ランドサット画像上で識別するには


【ETM+/LS-7,2002/09/30の画像データを入手済み】



◆火入れのための防火帯が識別できるか?


◆傾斜度分布のGIS的表現の試み
傾斜度 可能な作業
(1)8度未満 → 大型機械による作業に適する
(2)8度〜15度 → 機械による採草作業が可能
(3)15度以上 → 機械作業は困難、放牧は可能
数値地図25000(国土地理院発行)の利用


◆研究対象地域の数値地図(DEM)の作成
○研究対象地域である阿蘇郡の数値地図が国土地理院の数値地図50mメッシュ(標高)をモザイク処理して作成された
○左図は阿蘇郡周辺のモザイクされた数値地図である。暗いほど標高が低い、明るいほど標高が高くなっている


◆最終勾配の計算方法

阿蘇郡周辺の南北方向の絶対勾配(度)

阿蘇郡周辺の東西方向の絶対勾配(度)
↓↓↓↓↓
東西南北方向の勾配から大きい値を選択し、最終の勾配にする
↓↓↓↓↓

阿蘇郡周辺の絶対勾配の分布(度)


◆阿蘇カルデラ周辺の傾斜度分級

阿蘇郡周辺の絶対勾配の分布(度)

最終の絶対勾配から抽出された牧野の作業傾斜度


◆阿蘇カルデラ周辺の傾斜度分級の3D画像



◆急傾斜地の利用状況
瀬田浦牧野
預託者:菊陽町、中央町
管理:預託者自主管理
料金:1日100円


◆牧草生産量調査
牧草の成長進行に関わる現況データの取得
【牧草生産量の調査】速報
(1)可視及び近赤外画像の同時取得
(2)分光放射計による反射スペクトル測定
(3)牧草種の分布及び乾燥重量の測定
定点観測地:狩尾牧野
2003年3月29日〜6月1日


なぜ、LandsatのBand4(近赤外)が重要なのか?
◆反射スペクトルの変化

3月29日

5月10日


◇2003/5/10の画像

可視画像

近赤外画像によるフォールス画像
状況:牧草の丈どんどん伸びてきている状態
観測地:狩尾牧野標準ポイント


◇1999/5/9の衛星画像
フォールスカラーで鮮やかな赤の部分の一部が牧草地と推測できる。
Landsat5号TM 1999/5/9 データ処理:九州東海大学 データ所有:宇宙開発事業団

トルー画像(R・G・B=3・2・1)

フォールス画像(R・G・B=4・3・2)


◆狩尾牧野の採草利用されている草種と拡張積算優占度(E-SDR2)の変化
種   名E−SDR2
和名学名 2002
5/9
2003
5/27
2003
オーチャードグラス
トールフェスク
レッドトップ
スズメノカタビラ
スゲ属spp.
ペレニアルライグラス
オオバコ
ツボスミレ
スギナ
ヘラバヒメジョオン
ワレモコウ
ヨモギ
ミツバツチグリ
オランダミミナグサ
オオヤマフスマ
スズメノヒエ
ニガナ
ネザサ
ユウスゲ
ハコベ
イヌタデ
Dactylis glomerata
Festuca arundinacea
Agrostis alba
Poa annua
Carex spp.
Lolium perenne
Plantago asiatica
Viola verecunda
Equisetum arvense
Erigeron strigosus
Sanguisorba officinalis
Artemisia princeps
Potentilla freyniana
Cerastium glomeratum
Moehringia lateriflora
Paspalum thunbergii
Ixeris dentata
Pleioblastus chino var. viridis
Hemerocallis vespertina
Stellaria media
Persicaria longisetum




















41.3
50.6
16.4
 
5.9
 
6.5
2.1
 
 
 
 
3.0
 
 
6.4
 
 
 
 
 
78.4
64.5
23.5
14.4
9.3
11.1
5.5
6.0
9.3
4.9
 
4.9
2.1
3.8
3.1
 
1.2
1.2
4.0
1.7
0.4
91.4
75.0
33.2
23.1
16.1
12.3
6.2
6.8
5.5
7.0
11.4
6.4
3.1
3.9
3.9
 
3.3
3.1
 
1.8
1.5


ASO by IKONOS


◆阿蘇町持続型草地畜産総合支援プログラム模式図



7 おわりに
 草資源を活用した21世紀の阿蘇地域肉用牛生産の進むべき姿の目安として、「阿蘇地域肉用牛生産新世紀戦略」が平成13年1月阿蘇地域振興局中心に取りまとめられ、草資源を活用した阿蘇地域肉用牛生産及び牧野活性化の進むべき姿を模索するため、県畜産振興課草地飼料班を窓口に日本草地畜産種子協会の多大なご協力と農林水産省競馬監督課の深いご理解により草地管理高度化技術調査事業(社団法人日本草地畜産種子協会)として事業化された。





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