畜産物安全・安定供給相互理解体制推進事業
熊本県地域検討委員会・研修会開催
  1. 目的
     生産者・消費者・学校給食関係者・行政・農業団体との連携対応と相互理解を図る為、交流会を通じ、消費者ニーズに対応した生産を確立し、地域資源を生かし、景観、食文化等を大事にする地域社会農業に対し理解を得ると共に、安心、安全な畜産部に提供と地元畜産物の安定的な消費につなげる。
  2. 事業主体
     (社)熊本県畜産協会
  3. 参集者 80名
     熊本市栄養士・学校給食関係者30名
     モーモーレディースの会30名
     検討委員会10名
     行政(県・市役所)5名
     熊本県畜産協会5名
  4. 日時・場所
     平成16年2月5日(木)午前10時45分〜午後3時
     熊本市水道町 メルパルク熊本2階会議室
  5. 研修会
    1. 11:00〜12:00
       「農産物の地産地消により安全・安心の認識について」
       熊本市立出水南中学校 学校栄養職員 宮嵜真理子氏
    2. 13:00〜14:00
       「肉用牛の生産に自身があります。美味しいです!」
       菊池郡菊陽町 肉用牛生産者(モーモーレディースの会会長) 那須真理子氏
    3. 14:15〜15:00
       意見交換会 アンケート調査


    ◆ 講 演 会 資 料 ◆

    畜産物安全・安定供給相互理解体制推進事業 研修会 意見交換会


    平成16年2月5日
    座長 佐賀大学農学部 岡本 悟教授


    (一貫経営者)
    若い栄養職員の方々に講演の感想や、将来子どもを持ったときにどう食習慣を伝えていきたいか、ご自分の考えを聞きたい。

    (学校栄養職員)
    ・現在、「総合的な学習の時間」にて児童に給食の話をしているが、と畜に関してなど知らないことが多かった。
    ・国産牛と和牛の違いがわからなかったが、知ることができた。
    ・「命をいただく」ということについて、とても考えさせられた。
    ・以前、と畜に関しての話を聞く機会があった。まだよく知らない部分があるのでさらに聞く機会が欲しい。

    (農協)
    学校給食での地産地消について、リストの中に農産物がたくさん挙げてあったが、畜産物は記載がなかった。畜産物が入っていても良いのではないか。

    (学校栄養職員)
    畜産物については鶏肉の○○県産というもの以外、牛肉や豚肉は「国産品」という情報しか届かないので、流通過程を知ることができない。ぜひ児童生徒たちに県産の畜産物を食べさせたいが、中学校は1食260円(おかずは170円)、小学校は1食210円(おかずは130円)の範囲で作らなければならない。牛肉を入れるにしてもハンバーグ(ミンチ)しか出来ない。やりくりが非常に大変なので、安全・安心なものを生産者の方が作っても使うことが難しい。いつも県産牛を使えるわけではない。正直なところ、「この値段で本当に国産品なのか」という疑問を抱いている。

    (事務局)
    2月13日に南阿蘇畜産農協で学校給食モデルの地域検討会がある。県産でも部分肉を使った安価で安全な給食を、というテーマを設けている。

    (畜産流通センター)
    牛にはすべて耳標(番号)がついている。今のところ枝肉・部分肉の段階までは流通センターで把握しているが、スライス肉に関しては把握できていない。本年12月1日からはDNAサンプルを採取し枝肉と照合する。

    (県栄養士会)
    学校栄養職員が非常に努力している。この努力が認められ、文部科学省で平成17年度の栄養教諭制度化に向け、栄養職員への教諭資格付与について審議が行われている。パン食を普及させたのが学校給食であるが、現在は米主体の和食への移行を進めている。家庭の食事の見直しも含め、食育の担い手としての役割がますます高まっている。今まで以上に良い食材を給食で使う努力をする必要がある。生産者側・消費者側の講演はそれぞれ本音で語ってもらい、とても有難いものだった。

    (学校栄養職員)
    給食の意味づけが変わってきている。献立の中身も、3つのグループからどれだけの量を使うか決まっている。牛肉は週1回20g、多くても30gまでしか使えない。
    現在、献立についての考えを変え、繰り返すことでより充実を図ろうと考えている。地域料理、地域の食材、生産者の思いなどを献立に織り込んでいく必要がある。学校給食を県産牛消費拡大につなげるのは容易ではないが、1食260円ないし210円から主食と牛乳を除いた170円(中学校)、130円(小学校)で何とかやりくりしていきたい。

    (繁殖経営者)
    地元の小学4年生の児童に1年間、牧草収穫などの体験学習の場を提供している。今後、更に1歩進んだ学習をしていく必要があると考えている。

    (県草地畜産研究所)
    阿蘇の草原で、と畜寸前まで牛を牧草で育てると脂質は黄色になり、肉は黒ずんだものになる。この肉は見た目が悪いためしゃぶしゃぶには出来ないが、ステーキには出来る。見た目と食味は一致しない。生産者は、もう少し低コストの生産が出来るのではないだろうか。給食では、安価なすね肉で美味しいハンバーグを作ってみてはどうか。

    (一貫経営者)
    東京・銀座のレストラン スエヒロの社長の談「うちは肉屋にはなれない」。2.3kgもあるあか牛のブロックステーキが名物で、同じあか牛でも自宅で食べるよりずっと美味しい。その秘密は仕入れてから1ヶ月ほど熟成させ、うま味を出すためとのこと。見た目は美しくないが実に美味である。見た目がきれいな肉は美味しくない。

    (県消費者協会)
    上益城郡矢部町で地元の小学生が田植え、稲刈りを体験したと聞くが、その後この体験学習がどう生かされているかという情報がない。
    給食は一般消費とは違う。一般消費者のほうが地産地消することが難しい。ぜひ生産者の方々が一般消費者に向けて情報発信してほしい。たとえば、但し書きを付ける、など。
    県産牛消費拡大の一環として牛肉を使った料理のコンテストを開催している。多いときで70人以上の応募があるものの、今回は30人程度にとどまった。次回は学校栄養職員の方々も1品ずつ応募してほしい。

    (繁殖経営者)
    月1回、子牛市場が開催される。肉に関して、生産者である自らも質より量を求めていた。しかしBSE以後、市場に行けば必ず肉を買って帰らなければならなかった。これ以後、量は少なめでも良いものを食べたいと考えるようになった。それと、畜産経営の後継者を育て、活性化につなげていきたい。

    (九州東海大学農学部 )
    学校給食が中学校の場合1食260円、小学校の場合210円でまかなわれていることに驚いた。給食会で検討し県産牛の安い部位(モモ、スネ、サガリ等)をぜひ使ってほしい。南阿蘇畜産農協とグリーンコープのように、安定的な供給のため年間で契約をしてはどうだろうか。特にサガリ肉は安価で美味なので使ってほしい。

    (九州沖縄農業研究センター )
    霜降り肉は見た目がきれいだが、なぜ高いのか。
    牛は皮をはいだら無差別級の戦いである。脂肪が多いと保存しやすく柔らかい、という市場業者の利点がある。しかし味はあくまで筋肉部分のものである。
    馬刺に例えると、究極の霜降りはコウネである。
    風味は香りを嗅ぐだけで味わえる。風味のある霜降り肉はしゃぶしゃぶやすき焼きに適している。いっぽう、味は舌に乗せて感じるものであり、あか牛の肉はステーキや焼肉に適している。霜降りは霜降りに、あか牛はあか牛に適した料理を。
    部位に合った料理法を工夫し、学校給食でも一般消費でも全体の消費を高めていこう。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







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