■■■  平成14年度熊本県畜産関係業績発表会  ■■■

平成14年度11月27・28日




■■■  海外畜産事情報告  ■■■

熊本県畜産会 大城哲男


資料


■■■  広がる畜産の輪  ■■■

熊本県畜産会 川崎広通


1.はじめに
 熊本県畜産会は、昭和30年11月21日に設立され、熊本県及び畜産関係団体と連携して、畜産農家の経営指導並びに、畜産行政の補完業務、情報の提供、畜産に関連する諸調査、出版活動など、畜産の幅広い分野で活動しています。
 特に、畜産物の自由化など国際化が進展する中にあって、最新の畜産情報誌の発行並びに、インターネットによる情報提供など、変化する畜産経営の多様な期待に応えています。以下、畜産会が実施している活動事例の一部を紹介します。
2.経営技術支援指導
 @畜産農家に対しては、経営規模の拡大及び専業経営の増加等、情勢の変化に伴い、集約的な複合経営、環境保全及び先端技術等の問題解決に関する支援指導を行っています。
 特に、経営体質の強化を図るため、畜産農家自らの経営者意識の変革を行い、経営分析能力の向上及び経営管理手法を支援助言しています。
 A大家畜並びに養豚経営への経営資金借受者への経営改善指導とともに、畜産物の低コスト生産のための技術普及、畜産が主体となる産直活動を支援する事業、畜産を中心にした豊かな営農環境を創造するための事業等、多面的な畜産経営への支援を行っています。
 B新しい情報化時代に対応するため、コンピューターを活用した経営分析の推進、畜産指導者を育成するための研修等についても力を入れています。
3.情報収集・提供
 畜産に関する各種情報は、畜産農家をはじめ、畜産指導者からの要望が多く、制度の高い、且つ最新の情報提供を迅速に行っています。
 また、進展のめざましいインターネット関係では、LIN(畜産情報ネットワーク)の一員としてホームページを開設して、生産者向け、消費者向けなど総合的な畜産に関する最新情報を提供しています。
@経営技術優良事例紹介 畜産環境コーナー 講演会要旨集 肉用牛肥育経営安定対策事業実績など
A統計熊本県畜産統計 畜産をめぐる情勢 熊本の畜産など
B食牛肉豚肉のレシピ紹介 グルメマップ 特産品紹介など
C遊びふれあい牧場 畜産イベント 荒尾競馬情報など
4.畜産環境保全指導
家畜糞尿処理に係る諸問題に直面している畜産経営者に対して各指導機関より、様々な検討を行い、改善の助言指導を行っています。
@畜産経営に起因する環境問題及び家畜排せつ物処理技術に関する調査
A環境問題改善及び家畜排せつ物処理技術に関する講習会の開催
B家畜排せつ物処理技術手引き書の作成
C指導・啓発検討会の開催
D家畜排せつ物処理技術の啓発・普及のための講習会の開催
E先進的な家畜排せつ物処理技術の習得のための研修
F堆きゅう肥需給情報誌、堆肥技術普及パンフレット等の作成
G畜産経営に起因する環境問題の解消のための特別指導チームによる技術面・経営面からの助言・指導
H環境改善計画の作成及び計画達成のための個別指導
Iその他家畜排せつ物処理技術の啓発・普及に関すること
5.優秀畜産表彰・普及定着化
 今後の畜産振興のモデルとなる優秀事例を全国的に求め、中央階段において表彰を行います。またこれらについての情報を提供することにより、その成果の普及啓発を行い、もって畜産の振興に寄与します。
@経営部門
 個別経営およびグループ活動の内容と成果
A指導支援部門
 畜産経営に対する指導組織(農協営農指導、農業改良普及センター、家畜保健衛生所等)、支援組織(コントラクター、ヘルパー組織、公共牧場等)および個人の活動と成果
B地域振興部門
 畜産を核とした地域(市町村、農協管内等)の活性化に関する取り組み(村おこし運動、環境保全、畜産物の加工・販売、地域住民との交流等)
6.草地畜産拡大・飼料増産戦略
 本県の土地条件、自然条件等に適応した放牧等の草地畜産の普及啓発を行うとともに、共同作業により公共牧場等を活用して日本型放牧を実践する放牧集団の放牧利用を推進するための事業及び放牧を主体として、農業生産資材や労働力の低減を図ることにより環境保全と良質な畜産物生産を目指す持続的な生産方式を推進します。
@ 草地畜産の振興及び事業推進
A 草地畜産コンクールの開催
B 草地畜産経営の普及啓発、技術指導等
C 放牧集団が草地畜産の振興、自給飼料生産等の共同活動支援

資料


■■■  酪農経営内から排出される洗浄汚水等の浄化処理  ■■■

畜産研究所 石橋誠・冨森健助


(目的)
 酪農経営の大規模化に伴い、パイプライン、バルククーラーの洗浄時に排出される多量の汚水は、尿溜槽でのふん尿混合貯溜、排水溝への希釈放流、圃場還元等が多いのが現状である。また、この洗浄水のみならず出荷できないなかった牛乳を多量に含む場合には、その腐敗に伴う悪臭が発生するため、たとえ圃場還元した場合でも地域住民からの苦情の原因にもなりかねない。そこで、廃FRPタンク等をリサイクル利用した簡易処理施設をモデル的に設置し、臭気の低減と圃場還元が可能な浄化処理を行うことを目的とした。

(方法)
 処理施設を設置した農家については、フリーバーンパーラー方式で、経産牛80頭を飼育しており、ふん尿については全て堆肥化している。従って、経営内から排出される廃液はパーラー排水の1.5t/日のみである。施設に用いた材料は、FRP中古サイロ5m36基、ブロアー2.5kw1台で、調査項目は、水質(BOD、pH、EC、NH4−N、NOx−N、T−P、その他ミネラル成分)、臭気(アンモニア、硫化水素、アミン類、メチルメルカプタン)とした。パーラー排水は1槽→2槽はエアーリフトポンプ、2槽→3槽は溢流、3槽→4槽は下部直結、4槽→5槽は溢流、5槽→6槽は溢流水が6槽の内槽下部から流入するようにし、滞留時間は約20日とした。

(結果)
 臭気については、原水においてメチルメカプタンが12ppm、硫化水素が6ppmと強烈な臭気であったが、第1槽において各0.1ppm以下となり、最終槽においては検出されず、悪臭低減が可能となった。
臭気分析結果
  硫化水素メチルメルカプタンアンモニア
 排水貯留時<1
1月第1槽2.5<1
第6槽<1<1<1
8月第1槽2.5<1
第6槽<1<1<1
臭気強度
強烈なにおい
強いにおい
らくに感知できるにおい
何のにおいかがわかる弱いにおい
やっと感知できるにおい

 水質については、試験開始時における原水のBODは1374mg/Lであったが、試験開始後は原水が流入する第1槽も連続的に曝気を行ったため、それ以上の原水(第1槽)のBODは400mg/L程度と1/3に低減した。処理水(第6槽)においては、試験開始の2月には77mg/Lであったが、その後20mg/Lまで低減した。T-Nにおいては、第1槽で145.7mg/Lであったが、処理水においては50mg/L程度に減少した。その他のミネラル成分については、原水と処理水の差が小さく、特にリンについては低減が難しいと思われた。
水質分析結果
  pHSSBODCODPT-NKCaMg
 排水貯留のみ6.113921374-28.598.135.857.817.8
2月第1槽7.82666910.671830.3145.770.454.413.6
第6槽7.711.877.95917.859.365.660.817.2
7月第1槽7.21320100241131.0266.9101.299.416.6
第6槽7.5212764.427.532.2112.038.612.2

 施設の費用はイニシャルコストで70万程度と廉価で、ランニングコストもブロアー1台の電気代のみであるため、  個々の農家での作成も十分可能と考えられた。
以上のことから、パーラー排水における臭気低減と圃場還元を行っても問題ないレベルにまで、浄化が可能となった。
コストについて
項 目(千円)
タンク(運送費込み)80
埋め込み工事100
回転翼型ブロアー25kw250
配管工事200
汚泥分離沈殿槽(自作の材料費)30
電気工事50
合 計710






熊本県畜産広場へ戻る