平成13年畜産レポート−1
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肉用牛及び乳用牛への受精卵移植の実用化


1・ 設立の背景
  • 東肥バイオファームは、昭和57年から現熊本県畜産農業協同組合東肥支所(当時、東肥畜産農業協同組合)が、褐毛和種の振興策(菊池郡大津町及び菊陽町の助成) として、当時としては、画期的な受精卵移植技術に取り組みを始めたものである。

  • 東肥バイオファームが設置されている大津町、菊陽町の畜産は、農業粗生産額の うち49%を占める基幹部門である。

  • 特に、牛肉の輸入自由化がなされた平成3年以降の褐毛和種と乳用種の牛肉価格 は低落し、農家経営を非常に厳しい状況に置いている。

  • そこで東肥畜産農協は、国、県、町の基本方針に沿い、バイオテクノロジーによ る新技術近代化計画を立て、地域畜産の活性化を図るべく畜産農家の支援体制として の「東肥バイオファーム」を設置し、施設の整備と新技術の研修に努めてきた。

  • 当時としては、受精卵移植は家畜の改良増殖を短期間、かつ低コストで利用でき る画期的新技術として開発され、生産の実用化と啓発普及の円滑な推進が課題となっ ていたが、熊本県畜産研究所の全面的な技術支援を受けてきた。

  • 東肥バイオファームは、この時代の流れに積極的かつ先進的に取組み、実証的位 置づけに努力してきた結果、現在、熊本県における畜産新技術によるイノベーション を担う重要な機関(東肥ETセンター)として位置づけられ、受精卵移植推進体制(地 域ETセンター)を形成するリーダー的中核組織としての役割を果たしている。

2.活動とその成果
  • 東肥バイオファームの活動範囲は、大津町、菊陽町及びその周辺であるが、地域 の肉用牛及び酪農家を対象として、採卵移植、並びに啓発普及及び研修を展開するな かで、関連する幾つもの新技術を取り入れながら実用化と実績の向上に努力を重ねて きた。

  • 平成12年度現在、供卵牛は頭数20頭を所有、回収卵数2,287個、移植頭 数1,162頭であり、着実に成果が上がっている。

  • また、技術面では凍結卵(培養卵)分割卵あるいはダイレクト法により、農家フ ィールドレベルへの実用化の段階にも至っている。

  • 併せて、優良子牛の多数生産することにより、供卵牛選定のための枝肉情報を収 集するとともに、ET子牛の流通システムの確立を図り、家畜市場における子牛価格 の評価を高めるとともに、高品質牛肉生産による銘柄化とオーナー制度による牛肉の 販路拡大を実施するなど、積極的な活動を展開して農家経営の大幅な改善に寄与してきた。

  • 現在取組んでいるこれらの技術は、県はもとより関係機関団体の強い協力を得な がら、東肥ETセンターを通して県下全域に普及しつつある。

  • 本事例は、農業分野が不安感を抱いている現状のなかで、生産者自らが市場ニー ズに積極的に対応し、今後の畜産振興発展のために努力している優良事例として推薦 する。



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