低コスト及び農家ニーズに即応した家畜糞尿処理事例等



1. 中規模養豚農家 豚尿排水処理設備
2. パーラー排水浄化処理
3. 遊休ブロックサイロ活用によるスラリー処理
4. スラリーの流動化促進と微生物資材活用による悪臭の低減化
5. 間伐材利用による簡易型堆肥舎
6. 余剰汚泥水分除去システム


中規模養豚農家 豚尿排水処理設備 事例 [PAGE UP]

  1. 背 景
     広大な阿蘇の平野に位置する養豚農家で、養豚業を主とし他に水稲も作る標準的な農家である。
     地形的に白川の水源地域の一部でもあり、従来より養豚の排水は圃場に還元はしつつも、成分や臭気等の課題を抱えながら経営を行ってきた。環境三法の施行と畜産環境を考慮し、今回既設の原尿槽を利用し最低限の設備費で排水設備を取り組むことになった。
  2. 経営規模
     繁殖母豚100頭の一貫経営 (肥育豚換算;1,000頭)
  3. 目 的
     豚尿成分(BOD、SS、窒素、リン等)の軽減化を図り、圃場還元とする。
  4. 取組仕様
     [ 処理槽の増設 ]
      ・既存原尿槽の容積 (60m3)  ・増設層の容積 61m3 (中古ホーロータンク利用)
     [ 機器類 ]
      ・固液分離機(インバーター制御)  〜 製作品 (SUS304)
      ・運転制御盤  ・曝気用ブロワー2.2kw (タイマー可)
  5. 成 果
     成分分析は4月頃予定です。
  6. 所 見
     自治体や周囲の認識も深まり、専業に専念されており段階的な計画は達成できたように思われる。耕畜連携の意識もあり、阿蘇地区の水稲および高菜・野菜農家等への液肥散布を積極的に行う為の啓蒙活動を推進したい。


設備 全景

原水槽

個液分離機

既存施設活用




パーラー排水浄化処理  事例 [PAGE UP]

  1. 背 景
     昭和61年に現在地の酪農牛舎・飼料畑・機械施設等を買収し酪農経営を開始した。当時は、飼養規模も40頭程度で、市街地から5〜6km離れた中山間地に位置しており、酪農団地として造成された場所でもある。現在、地域耕種農家とも積極的に連携し、地域農業の核としての役割を果たす耕畜連携モデル農家としての評価が高い。
  2. 経営規模
     ・経産牛 101頭  ?・育成牛 62頭
  3. 目 的
     パーラー排水を浄化し、圃場散布および放流
  4. 取組仕様
     [ 処理槽の確保 ]
      ・曝気槽および沈殿槽 70m3(中古ホーロータンク利用)
     [ 機器類 ]
      ・曝気用ブロワー 3.7kw (タイマー運転)
      ・運転制御盤
  5. 成 果
     (1)原水  pH(7.25) BOD(1140ppm) SS(2594ppm)
     (2)処理水 pH(7.38) BOD(78.6ppm) SS( 241ppm)
  6. 所 見
     河川放流するならば、前処理でSS分を除去(固液分離機)すれば可能と思われる。総評としては、フリーバーン牛舎に於いて堆肥化施設およびパーラー処理の両面を自己責任で行っており、自己完結型の理想形とも云える。


浄化設備 全景

曝気槽および転送汚泥

最終沈殿槽

初期沈殿槽〜第一曝気槽




遊休ブロックサイロ活用によるスラリー処理 [PAGE UP]

  1. 背 景
     荒尾市の小岱山麓に位置する中規模の酪農家でる。木造の繋ぎ牛舎で40頭の搾乳牛を飼養している。年間搾乳量が9500L/頭の成績で、親子3代での共同経営。
  2. 経営規模
     ・経産牛 50頭  ・育成牛 20頭
  3. 目 的
     ブロックサイロを活用し、スラリーの簡易浄化処理
  4. 取組仕様
     [ 処理槽の規模 ]
      ・ブロックサイロの全容積  47m3
     [ 機器類 ]
      ・曝気用ブロワー 2.2kw
  5. 成 果
     成分分析は行っていない。但し,曝気時の臭気は微量だが気にはならない。圃場散布に関しては全く臭気はせず、産地品の梨園に液肥利用されている。
  6. 所 見
     処理水が無臭であるために安心した散布が可能となった。設備費を極力掛けずに遊休施設を上手く利活用した事例といえよう。


ブロックサイロ 全景

曝気状況(1)

曝気状況(2)

最終曝気槽




スラリーの流動化促進と微生物資材活用による悪臭の低減化 [PAGE UP]

  1. 背 景
     以前からの繋ぎ牛舎のほとんどは糞尿混合(スラリー)を地下ピットへ流下させ、バキュームによる圃場散布である。これらの飼養形態での地域環境における共存はかなり厳しい状況となっている。上記の状況を少しでも軽減化し、酪農経営の安心感の一部につなげればと思っている。
  2. 目 的
      ・臭気の軽減  ・脱窒の促進
  3. 取組仕様
     [ 微生物資材 ]
      ・乳酸パワー (主要成分 ; 乳酸菌 100億個以上/g、  枯草菌 10億個以上/g)
     [ 機器類 ]
      ・カッター付きポンプ  2.2kw
  4. 成 果
      (1) 生スラリー  T−N(5800mg/L)   BOD (55000ppm)   SS (74000ppm)
      (2) 処理水    T−N(3800mg/L)    BOD (33500ppm)   SS (49500ppm)
  5. 所 見
     本設備の稼動により窒素成分の減少が見られ、脱窒・気散および微生物分解が示唆された。さらに、有機態窒素がアンモニア態窒素より数値が低いということは、分解が開始されている過程を示しており圃場還元時に土壌成分への窒素過多による悪影響が、緩和されることになる。


中古ポール利用の三脚

カッター付きポンプ 設置状況

全景(設置状況)

ポンプアップのスラリー




間伐材利用による簡易型堆肥舎 [PAGE UP]

  1. 背 景
    補助事業を利用した堆肥舎および発酵舎の建設が近年著しくなってきている。高額で機械的充実さもすばらしく良質な堆肥も量産されている。しかし一方で小規模な畜産農家に於いては低コストの畜ふんの処理対策が急務となっている。
  2. 目 的
     低コストの堆肥舎により、環境3法対策と自己責任による良質な堆肥づくり
  3. 取組仕様
     [ 建設材料 ]
      1) 主要部     H鋼および生コン基礎
      2) 壁材       間伐材利用
      3) 屋根材     畜産波板
       注) 建設にあたっては、十分建築基準法を考慮する必要がある。
     [ 施 工 ]
      ・畜産農家自身による組立て工法で可能
  4. 成 果
     現在、畜産農家に推進中
  5. 所 見
     間伐材利用で安価な堆肥舎であり、自身の製作構造物なため適宜な切返し作業にも愛情を込め、草木チップや魚のあら・食物残渣などを混合し良質な発酵堆肥の製造に取り組むと思われる。




余剰汚泥水分除去システム [PAGE UP]

  1. 背 景
     畜産排水処理に於いて発生する余剰汚泥の処理法は、一般的に高額な機械(脱水機)や広大な面積を必要とする砂ろ床などが挙げられる。高分子凝集材を使用する脱水機の場合、凝集物の堆肥化への投入は肥料精度の低下につながる。また、砂ろ床の場合、分離した汚泥の除去作業は多くの労力を必要とする。
  2. 目 的
     低コストの条件で、ごく自然な手法で余剰汚泥の水分を除去する。
  3. 取組仕様
     [ ろ 材 ]     セルロース系の布地
     [ 手 法 ]     自然荷重水分分離
     [ 手 段 ]     専用袋に投入された余剰汚泥(1日分)を上部より圧力をかけるか又は、フック式で吊るし水分分離を行う。専用袋の底部は、ロール式にしておき分離後に開封し堆肥化へ搬送する。袋に付いた粉は洗浄する。専用袋は1週間分を用意し、ローテーションして使用する。
  4. 成 果
     現在、試作品の設計
  5. 所 見
    ろ材の選定が最大のポイントと思われる。低コストの余剰汚泥の水分分離が可能となればほとんどの汚水処理は、ほぼ完全に運用されることになると思われる。