タ行
大腸菌 (coliform bacillus, Esherichia coli)
 人および動物の腸内とくに大腸に多数存在する細菌で、ふん尿に汚染された所に広く存在し、汚染の指標となる。腸内細菌科(Enterobacteriaceae)に属する。菌体に由来するO抗原(耐熱性)、鞭毛に由来するH抗原(易熱性)、莢膜に由来するK抗原、線毛に由来するF抗原があり(いずれも中間的熱抵抗性)、これにより血清型が細分されている。
 大腸菌は元来非病原性であるが、下痢等を起こす病原性大腸菌も知られており、人に体する病原性から、次の4種に分類されている。
1.腸管病原性大腸菌(enteropathogenic E. coli(EPEC))、別名:腸管凝集粘着性大腸菌(enteroaggregative E. coli(EAEC))、腸管接着性微絨毛消滅性大腸菌(attaching and effacing E. coli(AEEC))。以下3種に属さない下痢原生大腸菌の総称。
2.腸管侵入性大腸菌(enteroinvasive E. coli(EIEC))。
3.毒素原性大腸菌(enterotoxigenic E. coli(ETEC))。
4.腸管出血性大腸菌(enterohemorrhagic E. coli(EHEC))、別名:Vero毒素産生大腸菌(verocytotoxin-producing E. coli(VTEC))。
 近年、食中毒による死亡例がでて話題になっている病原性大腸菌O-157は、EHECに分類され、血清型はO-157:H7である。
 家畜における大腸菌症には、牛では子牛の下痢症、乳房炎など、豚では敗血症、白痢、浮腫病など、鶏では敗血症、関節炎、腸炎などがある。
 
大腸菌群 (Coliform group)
 人及び動物の腸内に寄生する細菌(coli型)、および主として水、土壌など広く自然界に分布する細菌(Aerobacter aerogenes型および中間型)の三型を大腸菌群と総称する。衛生対策などで早急に結果を求められる場合には、これら三型菌をそれぞれ正確に区別することは困難である。また、上水(飲料水)の汚染を確認するのであれば、三型を区分する必要はない。そこで検査上は三型細菌群をひっくるめてcoli型菌とみなして検査し、水の衛生上の安全度(し尿やふん尿による汚染度)の指標とする。
 
堆肥 (compost)
 様々な有機物質を原料とし、好気的発酵によって腐熟させ、成分的に安定化し施用に適する性状にしたものをいう。本来は、わら類、落ち葉、野草などを堆積し発酵させたものを堆肥、家畜ふん尿を主原料とするものをきゅう肥と呼んで区別していたが、現在では様々な有機物質が原料として用いられるようになり、堆肥化・発酵させたものは原料の如何に関わらず堆肥と呼ぶことが多い。また、かつて都市ゴミを堆肥化したものをコンポストと呼んで区別したことがあるが、堆肥とコンポストは同じと考えて良い。
 わら、落ち葉、野草などを用いる本来の堆肥は、積み肥と促成堆肥に分けられる。積み肥はこれらの材料に家庭雑排水や家畜ふん尿を混合して堆積し長期間かけて作るものであり、促成堆肥は硫安や石灰窒素を添加して腐熟を促進し、比較的短期間で作るものである。バーク堆肥・オガクズ堆肥など木質系の堆肥は、バーク(樹皮)、オガクズ・プレーナークズなどの廃材を主原料とし、鶏ふん・米ぬか・油かす・尿素・硫安などを混合して作られる。家畜ふん堆肥については、家畜ふんだけで作る場合もあるが、稲わら・モミガラ・オガクズなどの副資材を混合してつくるのが一般的であり、畜種および副資材の種類によって牛ふんオガクズ堆肥、豚ふんモミガラ堆肥などと呼ばれる。[きゅう肥]参照
 
堆肥の品質推奨基準 (guideline for quality of composts)
 良質な有機資材を供給することを目的とした民間の自主的な品質保全を行なうために作成された堆肥の品質基準。この基準は、全国農業協同組合中央会を事業主体として実施された「有機質肥料等品質保全推進事業」において作成された。現在のところ、バーク堆肥、おでい肥料、おでい堆肥および家畜ふん堆肥の4種類の資材について、種類別および共通の品質基準が設定されている。なお、これらはガイドラインであって、公定規格ではない。
 
滞留時間 (retention time)
 槽や池の有効容量を単位時間当りの流入量で除したもの。曝気槽の滞留時間は、汚水が活性汚泥微生物による生物酸化処理を受ける時間を意味する。
 沈殿槽の滞留時間は、固形物の沈殿分離に要する水の静置時間を意味する。
 
脱臭 (deodlrization)
 ガス中に含まれる悪臭物質を吸着、燃焼、水洗、生物脱臭、薬液処理などの方法で除去する操作。
 
脱臭装置 (deodorization system)
 悪臭物質を吸着、燃焼、水洗、生物脱臭、薬液処理などの方法で除去(脱臭)する装置。吸着や水洗、薬液処理法では吸着剤の交換、処理水や廃薬液の処理に費用がかかる。生物脱臭では高濃度の臭気ガスには不向きであるが持続的な効果が期待される。
 
脱窒 (denitrification)
 微生物が嫌気的条件下で硝酸態窒素あるいは亜硝酸態窒素を呼吸系の電子受容体として利用し、N2あるいはN2Oを生成する過程のことをいう。脱窒素ともいう。脱窒は、水中や土壌中においてNO3などの窒素酸化物が上記の反応の最終過程でN2などのガス態の窒素に還元されるので、生物圏から大気圏放出される窒素の主要な経路として地球上の窒素循環に大きな役割を果たしている。
 脱窒を行う細菌のことを脱窒菌という。脱窒菌は自然界に広く分布し、Achromobactor、Alcaligenes、Batillus、Chromobacterium、Corynebacterium、Micrococcus、Pseudomonas、Thiobacillusなど14属の細菌が確認されており、Thiobacillus属以外はすべて従属栄養細菌である。脱窒が起きるためには次のような条件が必要である。 1.脱窒菌は酸素存在下では硝酸があっても酸素を優先的に利用するので低酸素条件が必要。 2.多くの脱窒菌は電子供与体として有機物を利用するので、有機物が多い程脱窒は進む。 3.好熱性や低温性の脱窒菌もいるが、一般的には30。C付近が最適温度である。 4.脱窒菌の最適pHは7〜8の範囲であるが、アルカリ側で脱窒を行なう菌もいる。
 活性汚泥法などの汚水処理技術における脱窒処理は、この原理を用いて汚水中から窒素を除去している。連続式活性汚泥法の場合には嫌気槽と好気槽を設け、好気槽で硝酸化成を起こした処理水の一部を嫌気槽に戻して脱窒させる仕組みになっている。また、回分式活性汚泥法のように単一の槽で処理する場合には、嫌気条件と好気条件を交互に繰り返す間欠曝気方式や制限曝気方式が用いられている。
 
多量要素 (macronutrient, macroelement)
 植物が多量に必要とする元素。植物の生育に必須である元素は16あるが、そのうち水素、炭素、酸素、窒素、リン、カリウム、カルシウム、マグネシウム、イオウの9元素を多量要素と呼ぶ。水稲の場合にはケイ素を含めることもある。多量要素の中で作物生産上とくに重要なものは窒素、リン、カリウムであり、これらを肥料の三要素という。家畜ふんにはこれらの元素が多量に含まれている。
 
炭素/窒素比
[C/N比]参照
 
炭素率
[C/N比]参照
 
単粒構造 (single grained structure)
 土壌の一次粒子が単独に積み重なる配列状態をいう。[団粒構造]参照
 
団粒構造 (aggregated structure)
 土壌の単一粒子(一次粒子)が集合して二次粒子となり、これがさらに集合して高次の粒団を形成する配列状態をいう。堆肥などを連年施用していくと土壌有機物含量が次第に増加し、土壌の団粒化が進む。団粒構造が発達して土が膨軟になれば、作物の根が良く発達して養分や水分の吸収能力が高まる。また、非毛管孔隙と毛管孔隙が適当な割合で存在するので、通気性や透水性だけでなく保水性も増大する。さらに、粘着性や可塑性が減少し、乾燥しても粒子の固結性が強くならないので、耕耘が容易になる。
 
地球温暖化 (global warming effect)
 地球が10万年に及ぶ長い周期で氷河期と間氷期を繰り返しており、両期の移行過程を温暖化、寒冷化といい、これらの原因には、太陽の活動や地球の公転軌道の変化、火山活動などが推察されているが、詳細は明らかではない。これらに加えて、近年における人類の活動が大気中の温室効果ガスを増加させており、これによる地球温暖化の加速が問題となっている。[温室効果ガス]参照
 
DO (dissolived oxygen)
 容存酸素。水中に溶けている酸素量のことで、mg/lで表す。
 酸素の溶ける量は、気圧、水温、塩分などに影響されるが、汚染された水中では、消費される量が多いのでその含有量は少なく、水が清純であるほどその温度における飽和量に近く含有される。0。C、1気圧における飽和容存酸素濃度は14.16mg/kg、20。Cのそれは8.84mg//kgである。
 容存酸素の量は、汚水の安定化に直接関係し、魚類の生存の可否、BOD測定の基礎となっている。また、エアレーションタンク内の容存酸素濃度は汚水処理性能を左右する重要な指標である。
 
低級脂肪酸 (lower fatty acid)
[揮発性脂肪酸]参照
 
電気伝導度 (electric conductivity)
 [EC]、電気伝導率ともいう。電気低効率(ス・m)の逆数に相当し、S/m(ジーメンス毎メートル)で表示する。従前のモー(mho)と同じ。
 電気低効率を電気伝導度に換算する式は次のとおり。
  L=J/R・103
 ここで、L:電気伝導率(mS/m)、J:セル定数、R:電気抵抗(ス)
 イオンが溶液中に存在すると、その溶液の電気伝導度は上昇する(溶液の電気抵抗が下がる)。完全に純粋な水は、106スcm程度の高い電気抵抗を持ち、電圧を与えても電流はほとんど流れないが、空気中に放置しておくと炭酸ガスを吸収して炭酸水溶液になるため電気抵抗は、短時間の内に上記の1/100程度まで下がる。したがって、溶液の電気抵抗を計測することから、イオン性の物質の有無及び濃度を知ることができる。
 このことから、電気伝導度は水中の塩類濃度の概略を確認するために広く用いられている。水中の可溶性塩(TSS)と電気伝導度との関係を示す目安として、次式が用いられている。
  TSS(ppm)=640 X EC (mS/cm)
 
伝熱面積 (heating area)
 大気汚染防止法によりばい煙発生施設として規制対象となるボイラの大きさを規定する要素。同法施行令の別表第1に定められており、伝熱面積の10m2以上のもの(又は、バーナーの燃料の燃焼能力が重油換算1時間当り50リットル以上のもの)が該当する。
 
同化作用 (anabolism)
 物質代謝において、化学的に簡単な物質から、複雑な物質を合成する反応。異化作用と対置される。例えば植物が太陽光線と水と二酸化炭素からデンプンを作る作用である「炭酸同化作用(光合成)」が有名である。
 
透視度 (transparency)
 検水(浄化槽の放流水)をガラス製の透視度計に満たして、上方から透視しながら下部のドレインから検水を流出させ、底部の二重十字がはっきり、はじめて読むことができる検水の高さ(cm)を透視度といい、Tpと表示する。例:透視度30の場合、Tp30
 
特殊肥料 (special fertilizer)
 肥料取締法では肥料を普通肥料と特殊肥料に大別し、特殊肥料についてはその品質の判定を消費者にゆだね、法律上の規制を極めて緩くしている。すなわち、普通肥料では肥料成分含有率などの公定規格が設定されているが、特殊肥料には有害物質(水銀・ヒ素・カドミウム)の上限値が定められているだけで肥料成分などの公定規格はない。特殊肥料は、「堆肥類などのように農家の経験と五感により簡単にその品質が識別できるものまたは品質が一定せず公定規格を設定し得ないようなもので、農林水産大臣が指定した肥料」をいう。[肥料取締法]参照
 
特定施設 (specified facility)
 法律用語。特定とは、法規制の及ぶ範囲を規定する場合に付けられる語。特定物質、特定事業場、特定粉じん、特定悪臭物質など。
 水質汚濁防止法に規定する特定施設とは、同法により排水規制の対象となる施設で、カドミウム、シアン化合物などの有害物質を排出したり、化学的酸素要求量などの高い排水を排出する可能性のある施設。具体的には同法施行令に指定され、届出が義務付けられている。
 騒音規制法、振動規制法にも、特定施設の規定がある。
 
土壌脱臭法 (soil filter deodorization method)
 生物脱臭法の1種。土壌中に送りこまれた臭気成分を土壌粒子に吸着、または土壌水分などに溶解させ、これを栄養源として臭気成分を無臭な成分にかえる土壌微生物等の働きを利用した脱臭方法。
 
トリメチルアミン (trimethylamine)
 (CH3) 3N
 悪臭防止法により指定された悪臭物質の1つ。水に易溶で、腐った魚のようなにおいの物質。
ア行カ行サ行・タ行・ナ行ハ行マ行・ヤ行・ラ行