良質堆肥生産技術について/タイトル
九州沖縄農業研究センター
畜産飼料作部畜産総合チーム長 薬師堂 謙一
 平成11年の11月に「家畜排泄物の管理の適正化と利用の促進について」の法律が施行され、今後、野積みなどの環境に悪影響を与える排泄物の処理が規制されると共に、良質堆肥生産による耕畜連携の促進が推進されます。家畜ふん尿は、本来、肥料として、また、土壌改良材として使用できる貴重な有機質資材ですので、今後、環境保全型農業を推進するため、畜産農家で余剰となっている家畜ふん尿は、良質堆肥に加工し耕種農家で土作りや作物の栽培に活用してもらうことが重要です。今回は、耕種農家が望んでいる堆肥の条件と、堆肥発酵の原理について解説します。
良質堆肥の条件
十分に腐熟していること
(作物に生育障害を起こさないこと)
牧草イメージ
有害微生物や雑草の発生が無いこと
堆肥の全ての部分が発酵中に60℃以上の高温に
1週間以上さらされていること。
汚物感の無いこと
素手で取り扱えること
アンモニアなどの悪臭の無いこと
取り扱い易いこと(水分60%以下)
肥料成分が一定していること
塩類濃度が高すぎないこと
戻し堆肥を副資材として使用するときは、塩類濃度が高くなりやすいので、使用する副資材の半分は、新鮮なおがくずやもみがらを使用する必要がある。
堆肥発酵の原理
 堆肥発酵は、ふんや副資材(おがくず、もみがら、稲わら等)の中に含まれる有機物が、好気性(空気中の酸素のある状態を好む)微生物を主体とする微生物群により分解される発酵です。発酵温後が60〜80℃に上昇し急激に分解する1次発酵と、温度が下がりゆっくりと分解する2次発酵の2段階に分かれます。微生物により発酵が進むため、
発酵イメージ
[1]
有機物(微生物の餌)
[2]
[3]
酸素
[4]
温度(1次発酵では50〜65℃、2次発酵では40℃以下)
等の条件を整えてやる必要があります。通常[1][2]の条件は十分に満たしており、[3]の酸素の条件が整うか否かで堆肥発酵がうまく行くか失敗するかが決まります。[3]の条件が整えば堆肥の温度は自然に70℃近くまで上昇します。ふん尿に副資材を混ぜたり、予備乾燥するのは[3]の条件と整えるために行っていることです。
 排汁が出るような条件では、堆肥の中に空気は通りません。また、自然に堆積しているだけでは、空気が通るのは表面の20〜30cm程度です。内部の部分は嫌気状態(酸素の無い状態、サイレージの作成過程と同じ)となっており、殆ど分解は起こらず、悪臭がひどくなります。このため、切り返しにより内部の嫌気部分を外側に出し堆肥発酵を進めます。床面からブロワーなどで強制的に通気すると、堆積層全体が好気的な条件になるので分解が速くなり、発酵期間が短くてすみます。1次発酵では畜ふんやわら類などの繊維分までが分解され、2次発酵ではもみがらやおがくずなどの難分解性のものが分解されます。1次発酵の所要時間は強制通気式で切り返しが4〜5回で30〜45日程度、自然堆積方式では切り返し回数が7回以上で約3ヶ月程度かかります。

良質堆肥生産技術について
堆肥発酵の基礎

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