"食肉の生産から食卓までを繋ぐ"
 The Japan Socielty Meat Production
第3回学術集会(大分大会)

日 時 : 平成20年9月5日(金) 13:00〜17:00
場 所 : 国民宿舎 久住高原荘(大分県竹田市久住)
 

          「九州における赤肉生産の戦略」

◆技術開発研究◆

               「産山・上田尻牧野組合の取り組み」
           ―草資源を活かして牛と共に歩む地域づくり―

                                         (社)熊本県畜産協会
                                                 米川康雄


 産山村は、九州のほぼ中央部にあたり、世界一の複式火山(カルデラ)である阿蘇山や、九州の屋根といわれる九重火山群及び祖母山に囲まれている。
 標高480mから1,050mの高原地帯に属し阿蘇外輪山と九重山麓が交わる波状高原と、その侵食された急傾斜部分から構成され東西6km、南北10kmで総面積60.72ku、その82.7%を山林と原野(改良草地を含む)が占める543世帯人口1,766人の高原型純農山村で、高冷地の気象条件や草資源を活用した高原野菜や肉用牛の生産、林業等が地域の主要な産業になっている。
上田尻牧野組合は、牧野面積約280haの広さを持つ、15戸の有畜農家で構成される共同利用牧場で、昭和55年に広域農業開発事業により肉用牛生産に意欲的な農家が取り組み牧場を建設した。放牧は、4月から12月までの期間で放牧を行っており、ASPの活用による放牧期間の延長も取り入れ、「牛は草でつくる」を基本理念に先進的な草地管理と肉用牛生産に取り組み、組合では肉用牛子牛生産を中心に、肥育牛や牧草の生産が行われている。
 特に、肥育牛については、当時の農水省九州農業試験場が熊本県当局を加えて肉用牛の草地畜産技術実証研究を同牧野組合で昭和52年(1977)より4年半ほどかけて研究がなされ、阿蘇入会改良牧野で普及可能な「和牛の生涯生産技術マニュアル」として昭和56年(1981)年に公表された。
その研究成果を基本として、褐毛和種を用いて、肥育全期間に渡って粗飼料を給与する肥育方法を取っており、生後7から8ヶ月齢で肥育を開始し、17から18ヶ月の期間を肥育する「全期粗飼料多給型肥育」を確立し産直を基本に販売を行っている。
 平成19年度より阿蘇東部地区畜産担い手育成総合整備事業に着手し、草地造成・整備改良や畜舎整備を行い「安全・健康」を求める消費者のキーワードに応えるべく、その条件を満たすために、飼料内容や飼育方法、放牧期間など独自な生産基準を設け、「健康で安全なもの」を嗜好する消費者へ牛肉本来の基本価値とは何か「新しいブランドポジション」をD百貨店と一緒に考えていく取り組みを始めている。



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