熊本市から菊池郡大津町のミルクロード沿いを進んでいくと、阿蘇北外輪山の標高940mの高知の中に大規模な野草地が広がっている狩尾粗飼料生産組合があります。

狩尾粗飼料生産組合の生い立ち

 阿蘇郡内には約2.3万ヘクタールの原野があり、その中の約1万ヘクタールが改良草地、約1.3万ヘクタールが野草地で、それぞれ放牧や採草地として利用されています。
 北外輪山の一角にある狩尾牧場ではそれぞれの農家が入会地において必要な粗飼料を生産しながら、夏山冬里で褐毛和牛の飼育をしていました。昭和63年に狩尾3区の有畜農家12戸が、牧草収穫時期が集中することや、収穫作業が過重労働になってきたことから、協同機械利用、共同作業による生産コストの低減と作業の効率化、粗飼料の安定確保を目的に「狩尾粗飼料生産組合」を設立しました。

狩尾粗飼料生産組合の概要

設立から13年目の現在の狩尾粗飼料生産組合

組合長
草地面積
有畜農家戸数
五嶋一俊
23ha(借受地)
8戸
飼養頭数繁殖牛 139頭
乳 牛  85頭

活動の変遷

年 次主 な 変 遷
昭和63年狩尾3区の有畜農家12戸で粗飼料生産組合結成、飼養頭数、繁殖牛90頭、乳牛50頭、採草地面積18ha、共同機械導入
平成 2年オケラ山草地更新、・・・牧草の生産量増収
平成2〜4年子牛価格の低迷等から4戸の農家が脱退し、現組合員の8戸となる。採草地面積21.5haに拡大。
平成 8年労働力軽減のため、タイトベーラーからロールラッピング体系へ転換のため、機械を導入。
平成12年採草地面積を23haに拡大。

組織運営

1.組合は組合長、会計及び書記を置き2年毎に交代、会計は副組合長を兼ねています。
2.組合員は全て農業専従者であり、地域のリーダー的存在です。
3.平均年齢は49才で稲作等においても地域農業の担い手として活躍しています。

組合員の経営概要

氏 名年 令経営面積飼養頭数
牧草地繁殖牛乳用牛
成牛育成成牛育成
単 位
荒井富美夫453001030
市原いつみ5050050
鎌倉 善光512232015
五嶋 一俊537004025
五嶋 誠次4555012
河原 義朝414003033
坂梨 和男6020010
山本 健二463207015
8戸3,1931602,300122177015

 注)牧草地は狩尾原野委員会から借地(2,150ha)し、粗飼料生産している

共同利用機械の種類構造、形式、数量

機械の種類構造  形式数 量
トラクターMF365 70PS1台
トラクターMF174 70PS1台
コンパクトベーラMF31台
テッタークーン1台
レーキクーン1台
ブロドキャスター 2台
ディスクモアークーン1台
モアーコンディショナークーン1台
ロールベーラJD5701台
ラッピンブマシーンMWM12201台
ホイルローダーV31台
ロールクラブRGB5501S1台

機械の使用料金表

 
機械の種類組合員(共同作業)組合員(個人作業)非組合員(OP付)
トラクター1,500円/h400円/h2,000円/h
コンパクトベーラ1梱包40円800円/10a(本機別)1梱包80円(本機含)
テッター50円/10a50円/10a(本機別)1,500円/10a
レーキ50円/10a50円/10a(本機別)1,500円/10a
ブロドキャスター 50円/10a(本機別) 
ディスクモアー250円/h250円/10a2,500円/10a
モアーコンディショナー250円/h250円/10a2,500円/10a
ロールベーラ1ロール800円  
ラッピンブマシーン1ロール  
ホイルローダー本機共1,500円/h  
ロールクラブ本機共1,500円/h  

上記使用料により運営

上表のように生産されているが、平成11年は夏期の降雨続きで生産量が低減している。


主な活動と成果

  1. 昭和63年12戸で発足し、現在は組印8戸で構成されており、狩尾の草地23ha(権利者306名)を借受け、肉用牛及び乳牛の飼養に必要な粗飼料を共同作業で生産するとともに、草地の維持管理をしています。
  2. 生産された粗飼料は組合員が必要な料を購入(労働賃金を差し引いた価格)するようにしています。
  3. 一部は組合員外の農家にも販売し、共同機械の償還金や牧野の維持管理費等に充てています。
  4. 機械の有効利用を図るため、組合員以外に対しても機械の貸し出しを行っています。
  5. 畜産に係る技術研究を図るため、組合員を中心に「尾ヶ石畜産研究会」通称「八日会」を開設し、牧野改良や、受精卵移植等の勉強会を毎月1日開催しています。また、計画交配を積極的に推進し、肉用牛の資質向上を図り、子牛価格の安定向上を目指しています。
  6. 尾ヶ石地区では農業祭りにおいて、阿蘇町唯一の支所単位の「和牛品評会」が開催されていますが、組合員は積極的に参加し、繁殖牛素牛の品質向上の技術研修の場としています。
  7. 県内、郡内とも肉用牛の飼養頭数が減少する中で組合員の飼養頭数は大きく増頭しています。

     平成 5年平成 9年平成11年
    頭数頭数頭数
    狩尾生産組合751006688120158
    阿蘇町2,6471001,825691,91872
    阿蘇郡12,83510010,0937910,12079
    熊本県32,73910025,7807926,03780

    資料:熊本県畜産統計 注:平成11年の阿蘇町、阿蘇郡の数値は10年末の数値

  8. 組合員は全て、中核農家であり、個別には集落の農作業受託や農地の維持管理にも努めており、地域農業の担い手として活動しています。
  9. 流通販売面では、高品質粗飼料生産と優良繁殖素牛の導入や飼料技術の向上により、子牛価格の安定向上を図っています。

個人・地域に及ぼした影響

1.個人 2.地域

活動の課題

  1. 組合結成当初に比べ、組合員内の飼養頭数のバラツキが大きくなってきており、共同作業の時間調整等むずかしくなってきている。
  2. 借地のため、計画的な草地更新ができない。
  3. 草地の雑草(ダイオウ、カシバ等)対策。

今後の活動目標

  1. 増頭計画に伴う自給粗飼料生産の拡大。
  2. 放牧期間延長や、周年放牧への取り組み。
  3. 堆肥の有効活用として、耕種農家への還元。
  4. 転作田の有効活用として、飼料稲の導入。
  5. 地域農業の担い手(作業受託組織)として、組合の発展を図る。
  6. 阿蘇地域の草地利用モデル組合としての活動。
平成12年度
熊本県農業コンクール
大会組織部
優良賞受賞

報告:熊本県畜産会相談窓口員
森 敏信




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