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高冷山間地域における肉用牛部会活動
阿蘇郡高森町 祭場肉用牛部会 
高森町祭場肉用牛部会は、東部に大分県、南部に宮崎県の県境に接し、根子岳より東南の、奥阿蘇とも言われる標高800mの高冷山間地の集落にあります。


 

 ■高森町の概要
 高森町は熊本県の東端に位置し、地勢は九州の屋根と云われる典型的な高冷地帯で、総面積の76%が山林原野です。
 耕地は南郷谷の一部をなす平坦地と外輪山上の谷間に散在して開けています。
 草部地区の祭場集落は阿蘇カルデラの外側に属し、山あいに畑地や広大な牧野
 があります。 
 高森町の肉用牛飼養戸数は259戸で、頭数3,512頭です。改良草地860haと飼料作物面積427haの飼料基盤を有し、他に高冷地野菜、キャベツ165ha、白菜12haの栽培があります。
 ■祭場肉用牛部会の概要
 有畜農家戸数・・・・・・11戸
 飼料作物面積・・・・・・・・47ha
 肉用牛飼養頭数・・・・・153頭
 水田面積(1戸)・・・・・・0.4ha
 野草地面積・・・・・・・100ha  野菜(キャベツ主)面積・・39ha   
 改良草地面積・・・・・・52ha
 果樹面積(2戸)・・・・・・2.5ha
 ※畜産と野菜が経営の中心です。
 ■共同利用機械(昭和59年度導入)
 トラクター・・・・・・・1台(63P.S)
 ヘイベーラー・・・・・・2台
 デイスクモアー・・・・・2台
 テッターレーキー・・・・3台
 コンファーベスター・・・1台
 ロールベーラー・・1台(平成5年度導入)
                 
  ■入牧されるあか牛

           

 ■部会活動の歩み
(1)部会の発足
 昭和58年広域農業開発事業で草地造成し、夏山冬里方式で肉用牛を飼養していましたが、昭和59年同事業で共同利用機械の導入、畜舎建設等と取り組むことになり、これをきっかけに祭場肉用牛部会が会員13名、肉用牛飼養頭数73頭で発足しました。
(2)広域農業開発事業の取り組み
 昭和58年草地造成を52ha実施しました。
 昭和59年草地管理の共同利用機械を導入しました。
 昭和59年〜60年に共同利用牛舎5棟(20頭収容4棟、30頭収容1棟)を建設し、草地管理と多頭飼養に伴う省力化を図りました。
(3)公社営畜産開発事業
 南阿蘇畜産農業協同組合が事業主体となり、昭和61年公社営畜産開発事業に伴う畜産総合施設が建設され、子牛品評会、登録検査、肉用牛飼養検討等会場として利用されています。
(4)熊本県農業振興パイロット事業
  
 昭和62年度に熊本県農業振興パイロット事業に指定され、肉用牛の放牧として夏山冬里方式、親子放牧など省力管理技術の向上を図っています。一方、複合経営として高冷地野菜のキャベツ栽培を主とする経営安定を目指して努力されてきました。
(5)畜産部会の共同作業
 部会では草地の施肥を年3回実施し、更に、牧草の乾草調整作業、イタリアンライグラスの乾草やサイレージ調整、トウモロコシの収穫、サイレージ詰込等機械の共同利用による効率化につとめています。
 放牧牛の問題点であるダニ駆除の実施により、ダニ熱による疾病の事故は防止されています。
 牧柵の修理、道路管理、牛舎消毒等実施されています。
 野焼きは、部会発足当時は実施していましたが、放牧頭数の増頭による野草地が芝草地化し、野焼ができなくなっています。

 

   

  

   ■部会員(農協職員等含む)

(6)肉用牛改良の取り組み
第1表 母牛の登録状況
登録
高等
特級
1級
育高
産肉
繁殖
頭数
3
58
8
11
7
55
142
 系統牛の導入により、母牛の改良を中心に続けられその結果、現在では右表の通りになっています。
登録頭数は142頭で南阿蘇畜産農業協同組合の中で3%を占め、特に育種高等登録(育高)、産肉登録(産肉)の頭数は計18頭で5%と高くなっています。
第2表 平成9年度子牛市場の種雄牛別交配頭数
父牛
波丸
波丸
ET
第十
光丸
第三
光丸
光王
菊光
ET
波豊
第六
春玉ET
光国
光重
ET
第四
光重
頭数
26
18
16
14
10
6
4
3
2
1
1
102

 最近の生産子牛の父牛は右表の通り、波丸を筆頭に県の種雄牛が利用され、光重ETに替る光玉波等の新しい父牛も選定されています。

 

    ●部会発足からの種雄牛候補と種雄牛
 今までに候補は11頭買い上げられ、その内3頭は種雄牛として選抜されました。(第一草福、重鶴、第三光重)
 南阿蘇畜産農業協同組合では、市場毎に子牛品評会が実施されてますが、部会では草部地区子牛品評会に多頭出品し、子牛の育成技術や系統、子牛の見方等夫婦揃って出席し、研修を行っています。又南阿蘇畜産農業協同組合全体の優良子牛品評会に毎回出品し、優秀な成績を納めていま す。
    ●子牛の発育と平均価格
第3表       
 子牛の発育状況(平均)
日令
平均
日増体重
項目
去勢
平均
去勢
平均
去勢
平均
南阿蘇市場
312
287
300
282
290
286
0.90
1.01
0.96
祭場
319
283
307
280
294
289
0.92
1.03
0.98
 第4表      
 子牛の市場平均価格
(税込)
項目
去勢
平均価格
備考
南阿蘇市場
275.691
335.987
305.839
  
祭 場
299.888
360.610
329.996
雌59頭、去勢68頭
計125頭
価格差
24.197
24.623
24.157
  
比 率
108.8
107.1
107.8
  
  
子牛の発育は第3表の通り日令280日、体重289Kg、日増体重0.98と市場平均より良い発育を示しています。
 子牛価格も第4表のように平均価格329,996円の24,157円高値の107.8%であり、雌子牛の最高価格は596,550円、去勢子牛の最高価格は428,400円でした。日ごろの部会活動の結果の現れです。
■祭場子牛品評会
(7)繁殖牛の受胎率向上
      第5表 繁殖牛の受胎率調査
               ※阿蘇家畜保健所調査
項目
経産牛
経産牛
経産牛
未経産牛
未経産牛
未経産牛
   
阿蘇郡
高森町
祭場
阿蘇郡
高森町
祭場
調査頭数
1.495頭
258
76
143
25
6
受胎頭数
1.075頭
186
47
113
19
4
受胎率
83.0
86.9
88.8
89.6
95.0
100.0
平均種付回数
1.8回
1.6
1.6
1.6
1.6
1.6
再胎日数
未受月令
127.3
105.8
120.4
16.8ヶ月令
18.1
16.6
      繁殖牛の受胎率向上については、昭和62年より、放牧衛生及び肉用牛生産技術改善事業に取り組み、阿蘇家畜保健衛生所の調査及び牧野巡回指導を受けその結果は第5表の通りです。

 繁殖牛の受胎率は第5表のように経産牛では、阿蘇群及び高森町に比べ高率の88.8%で種付回数は1.6回、再受胎日数が120.4日で高森町より約6日長くなっています。
 未経産牛は100%の受胎率で、受胎月令16.6ヶ月令です。
 今後はもっと短縮するようにと努力しています。


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