■■■  天草におけるシバ型牧草を利用した放牧形態  ■■■


熊本県畜産会 地域相談窓口員
天草担当   松本英穂





天草地域では昔から黒牛(黒毛和種)が飼養されており、県下黒牛繁殖雌牛飼養頭数の約28%を占めています。平成12年12月末の繁殖雌牛の飼養頭数は、3,548頭で県下(あか牛を含む)の約13%、肥育は1,778頭で約2%となっています。
繁殖雌牛頭数については、牛肉輸入自由化以降減少しましたが、平成7年からは徐々に増加傾向にあり、近年では毎年約180頭ずつ増えています。
 また、天草地域は熊本県の南西に位置し、年間平均気温16.2℃と気候温暖な地域であるため、一般に阿蘇地域に見られるような寒地型牧草は、この気候条件とまた痩せた土壌のため定着しませんでした。
 しかし、平成10年前後から放牧に対する関心が高まり、耕作放棄地等を活用した放牧活用の取り組みが増え、現在では天草地域内の13カ所において放牧が行われています。
 その形態は、暖地型のシバ型牧草を利用した放牧で、4月から11月が実施期間となっています。さらに、冬期間は水田裏作のイタリアンライグラスと組み合わせた周年放牧に取り組んでいる事例もあります。
 以下、天草の耕作放棄地等を利用したシバ型草地や水田裏の放牧利用など、土地の有効利用にも積極的に取り組んでいる代表的な事例を紹介します。




事例1 河浦町路木 中 村 牧 場
 昭和57年に山地利用の放牧を目指し寒地型の牧草を導入しましたが、天草の気候と土壌に適合しなかったため、国内外から様々な草種を導入し試行錯誤を重ね、現在のシバ型牧草に定着しました。冬期は補助飼料を与えていますが、イタリアンライグラスを牛糞上に播種して粗飼料購入費を軽減しています。

放牧取り組み時期昭和57年〜
放 牧 頭 数13頭(黒毛和種)
放 牧 面 積5ha
主 な 草 種ノシバ、センチピ−ドグラス、カーペットグラス
放 牧 期 間周年




事例2 河浦町古江 古 江 団 地
平成9年に造園業者の樹園地跡を利用して、シバ型牧草地を造成しました。現在は5名が入牧しています。
放牧取り組み時期平成9年〜
放 牧 頭 数12頭(黒毛和種)
放 牧 面 積7.3ha
主 な 草 種センチピ−ドグラス、バヒアグラス
放 牧 期 間4〜11月




事例3 新和町碇石 福 井 牧 場
平成9年に耕作放棄地の柑橘畑を利用して、シバ草地を造成しました。
 また、水田の裏作ならびに耕作放棄田を借り入れての放牧も実施中です。補助飼料として1日に1回濃厚飼料を給与しています。
放牧取り組み時期平成9年〜
放 牧 頭 数16頭(黒毛和種)
放 牧 面 積4.1ha(シバ草地2ha、水田放牧2.1ha)
主 な 草 種センチピードグラス・カーペットグラス・ノシバ・バヒアグラス・バミューダグラス
放 牧 期 間4〜11月(12〜3月は水田裏放牧を実施)
 
シバ型草地
ノシバに代表される草丈の短いイネ科の暖地型永年牧草の草地です。シバ型の牧草は、ほふく茎によって横に広がり密生した草地を形成し地表を覆い尽くします。そのため傾斜地でも十分に活用でき、生育適温が高いために温暖地域でその特性を発揮します。
天草で放牧に活用できる品種は、暖地型のノシバ、センチピードグラス、カーペットグラス、バヒアグラス等があります。

シノバ

センチピードグラス

カーペットグラス

バヒアグラス


水田裏における放牧




シバ型草地の利点と欠点
利点
欠点
まとめ
 シバ草地等を利用した放牧による労働時間の軽減効果は大きく、既存の畜舎にも余裕 が生まれることから、増頭の可能性も十二分に考えられます。
 また、複合経営であれば、肉用牛管理に係る労力を振り分けることが可能で、他部門からの収入増も期待できます。
 さらに、中山間農地や耕作放棄地等の有効利用もでき、併せて環境美化保全に一役買うことが出来るといえます。



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