食肉の上手な調理法/肉の調理上の基礎知識



■はじめに
■肉の調理上の基礎知識
 ├補助調理法

 ├本調理法
  ├焼く
  ├煮る
  ├揚げる
  ├炒める
  ├蒸す
■栄養効果を高める調理法
 ├調理法による栄養成分の変化

■肉料理に合う野菜の取り方
 ├1日に必要な野菜の量は

 ├主菜の付け合わせ野菜
 ├浸ものやサラダとしての野菜
■調味料・スパイス・ハーブの賢い使い方
 ├調味料

 ├スパイスとハーブ
■肉や骨を使っただし汁の作り方


 

 
 補助調理法  

 調理は「焼く、煮る」などを本調理とするならば、「切る、たたく」などは補助作業ですが、良い料理を作るための手順ですからおろそかには出来ません。材料や時間を無駄にせず、能率良く料理を作るためには、補助調理法と本調理法のポイントを理解することが大切です。

切る
 硬いものを食べやすく、消化吸収を良くするために、また材料に火や味が平均に通りやすくするために、焼く、煮るなどに先立って行う仕事です。
 肉は切って長く置くと肉汁が出て切り口の鮮度が落ちるので、塊の場合は調理の直前に切るようにします。切断面が荒く、肉汁の流出を防ぐよう、ナイフはよく切れるものを使用します。塊肉を切るときは、肉の繊維に直角に切ると軟らかく、熱の通りも良くなります。ただし、これは短時間の加熱に適する方法で、長く火を通すと肉汁が出て味も落ちます。肉の形や大きさは料理の種類により、加熱時間や煮汁の量にあわせて決めます。中国風の千切り炒めなどは、繊維に沿って切ると、火を通しても縮れたり、バラバラに崩れたりしないので奇麗に出来ます。

たたく
 肉たたきで肉を軽くたたいておくと、肉の繊維がつぶされるため軟らかく食べられます。また、厚み1cm程度の肉を短時間に焼く場合は、焼き縮みを防ぐことが出来ます。しかし、肉は調理の下準備の段階でいつもたたくとは限りません。例えばステーキの場合、ヒレ肉のように軟らかく厚めのものはたたきません。ロースの場合も軽く押さえる程度。ミニュッツステーキの場合はたたいて薄くします。

筋切りと縮め戻し
 肉をステーキやフライにする場合、筋があると焼いてから縮んで反り返るので(肉と筋の加熱による縮み具合が違うため)赤身と脂身の境目にある筋を切っておきます。このように筋を切った肉でも、焼くと多少は縮みます。この時なるべく平らに縮まるように筋切りした肉は、手で軽く元の形に縮め戻しておきます。こうすることで平均に美しい焼き色が付きます。

染み込ませる
 肉の自然の持ち味に、更に良い香りや味を添えることです。方法は、焼き肉や焼き豚のようにあらかじめ調味液に浸して下味をつけたり、洋風では漬け込むこと(マリネ=mariner)をします。漬け汁のことをマリナード(marinade)といい、大別するとオイル系とワイン系の2つのタイプがあります。
 オイル系マリネはステーキ用に適しています。玉ねぎ、にんじんの薄切り、セロリの葉やパセリ、ローリエ、セージ、タイム、粗挽きこしょうなどを肉の上下に挟み、オリーブ油かサラダ油(肉重量の10%程度)をかけ、ラップで覆い2〜3時間の早漬けか、一昼夜位置きます。肉質をならして熟成も進みます。
 ワイン系マリネはシチュー用などの肉の下処理に適します。ワインは赤、白どちらでも良く、肉の20%と香味野菜や香辛料はオイル系に準じます。肉と漬け汁をポリ袋などに入れ、空気を抜いて口をしっかりと留め、冷蔵庫内に1〜2日保存します。肉を取り出した後のマリナードは材料と共に調理するか、または他の料理のたれなどに利用出来ます。

まぶす
 肉を油で炒める場合、肉の表面に小麦粉を薄くまぶします。その理由は材料に早く焼き色を付けるためと、粉で膜を作って中の肉汁が逃げるのを防いだり、また口触りを柔らかくします。フライの時には粉をまぶした上に、更に溶き卵とパン粉を付けます。これは材料に油が染み込まないように、また材料から水分が出ないように壁の役目を果たし、更にパン粉の香ばしいにおいが付いてサクサクした歯触りも楽しむためです。最初の粉はなるべく薄くまぶします(厚く付けると卵がはじかれて絡み付きにくくなる)。全卵だと手軽で失敗は少ないのですが、ただパン粉が多く付きすぎて衣が厚くなります。溶き卵は、ほぐした卵の2分の1量位の牛乳か水で薄めると良いでしょう。薄い衣は舌触りが軟らかく肉の持ち味がよく味わえます。パン粉をまぶすときは、上から軽く押さえる程度とし、またパン粉を付けたままで長く置くと材料から湿り気が出るので良くありません。また、パン粉を付け終わった肉の重ね置きも良くありません。