食肉の上手な調理法/肉の調理上の基礎知識



■はじめに
■肉の調理上の基礎知識
 ├補助調理法
 ├本調理法
  ├焼く
  ├煮る
  ├揚げる
  ├炒める
  ├蒸す
■栄養効果を高める調理法
 ├調理法による栄養成分の変化

■肉料理に合う野菜の取り方
 ├1日に必要な野菜の量は

 ├主菜の付け合わせ野菜
 ├浸ものやサラダとしての野菜
■調味料・スパイス・ハーブの賢い使い方
 ├調味料

 ├スパイスとハーブ
■肉や骨を使っただし汁の作り方


 
 本調理法  揚げる


揚げものは、高温の油の中で食品を加熱する調理です。熱の伝わり方は油の対流熱によって行われます。


1.特徴
●食品に油の香味を加える
 材料が高温の油の中で熱せられると、水分が減少し代わりに油を吸収します。高温のため、材料に適当な焦げ味が付き風味を増します。
●調理時間が短い
 高温に熱せられた油の中で加熱するので肉が早く軟らかくなり、その結果、栄養素、特にビタミンCの損失が少なくなります。
●ボリュームが出る
 油の吸収が多いのでエネルギーが高くなり、腹持ちの良い若い人向き料理になります。
●油の種類と温度
 植物性の天ぷら油(大豆油に菜種油を配合)は熱の安定性に優れ、サラダ油(精製度の高い菜種油やコーン油)は色が薄く保存しても風味が悪くなりにくいため家庭向きです。ラードは揚げたてを食べるとコクがありますが、冷めると油臭さが口に残ります。
 油の温度は、だいたい160〜200度の間で揚げます。水は沸騰点が100度で、それ以上になりませんが、油脂は熱を加えると300度以上もの高温になります。しかし、そのような高温は調理には向きません。ものを揚げる温度は、材料の内部にだいたい火が通ると同時に、表面に奇麗な揚げ色が付くのが理想です。材料の性質、形の大小、切り方などの差で160度とか180度といった具合に温度を決めます。
表8 肉の揚げものの種類と方法

2.揚げものの種類とポイント

●揚げものの種類
 揚げものの種類は多くの場合、主として衣の種類によって分けられます。
 次に、主として肉の揚げものの種類と方法を表で示します。
●揚げもののポイント
(一) 油の量と温度……材料を油に入れると温度降下が激しいので、ややたっぷりめの油を用意します。しかし多すぎる場合、家庭ではなべからあふれて危険だったり、熱源のこともあるので普通はなべの七分目位にします。温度は高いと材料の中まで熱が通らないうちに表面が焦げ、また低すぎると油っぼくなってからりと揚がりません。一般に火の通りの早い材料は高温で短時間、じっくり火を通す材料は低い温度で時間をかけて揚げます。適温を一定に保つためには、油に入れる材料は油の表面積の中位にとどめます。
(二) 温度の調節……材料を揚げながら油が適温より高くなった場合は、栓を閉めて(ガスコンロの場合)火を弱める、油の中へ材料を多めに入れる、なべを火から下ろす、また冷たい油を注ぎ足すなどで処理します。反対に低すぎるときは、低くなってしまう一歩手前で栓を全開し、なるべく短時間に温度が回復するように調節します。
(三) 衣……肉に衣を付ける場合は、材料を包んで膜を作るので、水分の減少を抑え肉の風味と軟らかさが保てます。天ぷらのように水分の多い衣に使われる小麦粉は、粘りの少ない薄力粉が向いています。衣に卵白をまぜたり、片栗粉をまぜるのは、小麦粉の粘りを弱めて衣の水分の脱水を良くさせてからりと揚げるためです。パン粉揚げは、パン粉の香ばしい焦げの風味とカリっとする歯触りが楽しめます。衣に包まれた肉は、衣の中で蒸し煮に近い状態になります。
(四) 油の扱い方……使い古した油は発煙点が低く、揚げる力も弱くなります。したがって1度に使う油は適量を用意します。揚げ終わったら、油きれの良い熱いうちにこして揚げかすを除き、なるべく短時間にさまし、きっちり蓋をして空気、日光、熱に触れさせないようにします。粘りが強く、色も濃く、泡立ちの激しくなった油は、思い切って紙やぼろ布に吸い取らせるか、その他の方法で固めるなどして処分しましょう。
(五) 油の吸収量……肉の種類やその大小、衣、油の温度や揚げ時間などによって異なります。豚肉は衣を付けずに直接揚げても脂肪が多いのであまり吸収しませんが、とんかつのようにパン粉を付け表面がざらざらになると、油の吸収は多くなります。目安としては揚げものの種類により、素揚げは3〜5%、から揚げで6〜8%、天ぷらは15%、パン粉やはるさめなどを付けた衣揚げでは15〜20%と油の吸収量は最高になります。

3.器具
 油の温度変動の少ない厚手なべが適します。なべが小さくて浅いと、油の量が足りなくなり材料も油も早く焦げるので、適当な大きさのものが必要です。家庭では中華なべが便利です。比較的少量の油でも表面積が多く深さも出るので、炒めものや蒸しものにも使えて重宝です。また手近にあればソースパンやシチューパンでも良いのです。