食肉の上手な調理法/肉の調理上の基礎知識



■はじめに
■肉の調理上の基礎知識
 ├補助調理法
 ├本調理法
  ├焼く
  ├煮る
  ├揚げる
  ├炒める
  ├蒸す
■栄養効果を高める調理法
 ├調理法による栄養成分の変化

■肉料理に合う野菜の取り方
 ├1日に必要な野菜の量は

 ├主菜の付け合わせ野菜
 ├浸ものやサラダとしての野菜
■調味料・スパイス・ハーブの賢い使い方
 ├調味料

 ├スパイスとハーブ
■肉や骨を使っただし汁の作り方


 
 本調理法  炒める


 炒めものは、熱したなべの熱と少量の油の熱によって材料を加熱する調理です。ちょうど焼きものと揚げものの中間に属し、中国料理の調理法では一番代表的なものです。日本料理では、油炒め(野菜類や麺など)や調理の予備操作としての炒め煮(炒り鶏)。西洋料理の場合は、比較的小さい材料の油炒め(芽キャベツ、じゃがいも、玉ねぎなどのソテー)があり、炒め焼き(ステーキ)や炒め揚げ(バネソテー)などの方法は、焼きものに属するので料理の種類は少なくなります。


1.特徴
●手早く短時間で出来る調理法
 炒めものは、水を使わずになべと油の高温によって加熱するので短時間に出来ます。
●素材を変化させる
 炒めることによって、植物性食品は軟らかくなり、動物性食品は硬くなります。また水分が減ると同時に油が染み込み、油の香味が加わります。ほうれん草、ピーマンなど緑の野菜は、短時間の加熱で色が美しくなります。炒める途中で、材料中の甘味の増加や糖分のキャラメル化、でんぷんの糊化などが行われます。
●ビタミン類の損失を防ぐ
 短時間の高温加熱で出来る料理なので、野菜のビタミン類の損失が少なく、特に緑黄色に多いビタミンAとなるカロチンは脂肪や油に溶けやすくなり、体内での利用率が高まります。

2.炒めものの種類とポイント

●炒めものの種類
 肉を炒めるとなると、ほとんどが中国料理と言って良い位なので、その例を挙げることにします。
 炒(ちゃお)とは、油を使って材料を短時間に炒め上げることです。肉の場合は、次の3つの方法に分かれます。
清炒(ちんちゃお)……材料をそのまま直に炒めます。
乾炒(がぬちゃお)……材料に片栗粉を付けて炒めます。
京炒(じんちゃお)……材料に卵白で溶いた片栗粉を付けて炒めます。
 注意点は、乾炒の片栗粉はそのまま付けることもあり、また水溶きして用いることもあります。その場合は、揚げたり、ゆでたりしてから炒めます。
 なお炒に属する方法として、次のようなものもあります。
爆(ばお)……ごく高温の油で瞬間的に炒め上げます。
烹(ぼん)……材料を炒めたり、揚げたりしたものに調味料を一気に入れて手早く仕上げます。
煎(じぇぬ)……少量の油をなべに熱し、材料を両面色付く程度に炒め焼きます。
●炒めもののポイント
 揚げものに比較して油の量が少なく、直接なべの高熱を受けて材料は焦げやすくなるので短時間に加熱面を変える必要があります。まぜたり、揺り動かしたりの操作を手早く行います。
●油の種類と量
 バターは、水分と塩分を含んでいて熱すると焦げるので不適です。ラードやヘットを使うこともありますが、冷めると固まり不快です。健康上からも植物性の油がよいでしょう。普通、材料重量の10%内外の油の量が目安ですが、奇麗に炒めるには15%位の油が必要です。
●下味
 肉類は炒める時、油に包まれてしまうと味が染みにくくなるのと、また肉の臭みを消して風味を付けるために、生肉に薄く味を付けます。塩味は肉重量の1%前後で、塩味が濃いと肉が締まって硬くなります。同時に酒や片栗粉をまぶすと風味も良くなり、肉も硬くならずに肉汁も出にくくなります。
●下準備
 材料で火の通りにくい肉は、油通し(低めの温度130〜150度の油にさっと通すこと)をしたり、下ゆでするなど、一気に炒め上げられるように予備加熱をしておきます。また、調味料も前もって準備します。そうしないと、途中でまごついて材料に火が通りすぎる原因になります。
●火加減
 強火で一気にあおり炒めます。なべは十分熱くして全体に油を回し、材料を広げるように炒めると強火の効果が生かされます。出来上がったらすぐに皿に取りましょう。もたもたしていると余熱で料理が水っぽくなります。

3.調味
 肉に下味を付けるので、一般に薄味にします。調味料は、材料重量の1%位です。塩味を濃くすると、一緒に炒める野菜などから水分が出て良くありません。

4.器具
 鉄製のなべやフライパンなどは、熱容量が大きく温度変化が少ないので適します。加熱面が広くあまり深くないものが炒めものには向いています。