食肉の上手な調理法/肉の調理上の基礎知識



■はじめに
■肉の調理上の基礎知識
 ├補助調理法
 ├本調理法
  ├焼く
  ├煮る
  ├揚げる
  ├炒める
  ├蒸す
■栄養効果を高める調理法
 ├調理法による栄養成分の変化

■肉料理に合う野菜の取り方
 ├1日に必要な野菜の量は

 ├主菜の付け合わせ野菜
 ├浸ものやサラダとしての野菜
■調味料・スパイス・ハーブの賢い使い方
 ├調味料

 ├スパイスとハーブ
■肉や骨を使っただし汁の作り方


 
 本調理法  蒸す


 蒸す方法(Steaming=スチーミング)は、水を沸騰させて出た水蒸気の熱で材料を加熱する調理法です。材料を生のままで火を通す、硬いものを軟らかくする、軟らかいものを固める、膨らませる、温めるなどの目的にこの方法が使用されます。蒸す場合は、食品の組織や成分の変化は煮ものに近くなります。


1.特徴
●材料が崩れず形を保つ
 蒸し器内は水蒸気の対流が起きるだけで、食品が動くことがないので形の崩れがありません。軟らかいものや形の崩れやすいしゅうまいや肉だんごのもち米蒸しなどに向く調理法です。
●栄養の損失が少ない
 水の中で加熱しないので、たんばく質、無機質やビタミンなど栄養素の損失が少なくて済みます。また、うまみが溶け出すことも煮ものよりは少ないです。蒸し汁の出るものは、器にのせて蒸しましょう。おいしい汁の場合は、これを利用することが可能です。
●材料が軟らかく仕上がる
 加熱温度が100度以下なので、火当たりが弱く、肉汁の流出が少ないのでふっくらと軟らかく仕上がります。
●焦げる心配がない
 蒸し水がなくならない限り焦げる心配がありません。また、材料は薄い下味をし、蒸し上がった後で調味液やソースで食べるようにします。蒸し器内の温度を保つためにも途中で蓋は取らないようにし、火に任せて他の仕事が出来るので気が楽です。

2.蒸しものの種類とポイント

●蒸しものの種類
 蒸しものは、蒸し方によって表9の3つの方法があります。肉類の場合は表の@に属します。
表9 蒸し方の分類
@100度の温度を保ちながら蒸す方法。 例 魚肉類、まんじゅう類
A100度の温度を保ちながらふり水または霧を吹いて蒸す方法。 例 赤飯、もち類
B85〜90度を保つために、蓋をずらしたり、弱火にして温度調整しながら蒸す方法。 例 茶碗蒸し、カスタードプディング

●蒸しもののポイント
(一) 火加減
 強く立った蒸気でも材料を入れると温度が下がります。そこで最初の2〜3分は強火にし、温度を100度近くに上げて蒸気が細く出る程度にします。温度を85〜90度で蒸したい場合は、弱火にし蓋を少しずらしたりして調節します。
(二) 蒸し水と蒸し器の扱い方
 長時間蒸すときは、水がなくなるので途中沸騰湯を差します。水の量は、中敷きの高さまでの八分目程度に止めます。水が多いと材料の下部が水っぼくなるからです。また蒸し器に水滴が落ちて困るものは、蓋に布巾をかませたりします。中華せいろの場合は、その必要はありません。
(三) 肉類は器に入れて蒸し器へ
 肉類は水に溶けやすい脂肪、たんばく質などが流れ出すので、適当なバットや皿に入れて蒸します。
3.調味
 淡泊に仕上げたい料理の場合は、薄く味を付け、ねぎ、しょうが、レモンなどの香味野菜を添えて風味付けをします。また、癖の強い肉の場合は、みそ、しょうゆなどのやや濃厚な味付けをするなど、肉の持ち味を生かした調味をします。

4.器具
 蒸し器は、いずれも下部に蒸し水を入れる場所とその上に材料を置く中敷きがあり、上部は密閉できる蓋が付いています。蓋には小穴があって蒸気の出方がわかります。また、中敷きをする代わりに2段、3段と切り離して積み重ねるようにしたものもあります。上段と下段では温度に差が生ずるので、途中で段を入れ替えます。また、蒸しもの料理の発達した中国料理に用いるものとして中華せいろ(蒸籠=じぉんろぉん)があります。中華なべにのせて使用するもので、これは蒸し器と違って蓋が竹のあじろ編みなので滴が落ちず、また程良く蒸気も逃げて温度調節が容易です。途中で湯を補う場合も、蓋を取らずに中華なべの縁から沸騰湯を注ぐだけでよいので操作が簡単です。