食肉の栄養知識/食肉とコレステロール



■はじめに
 ├古代人は何を食べていた

■仏教の肉食禁止
■わが国の近世から現代の
 肉食と健康

■国際的な日本の位置
■栄養素摂取の日米比較
■ライフステージ別栄養
■長寿地域の食パターン
■食肉に含まれる栄養素の
 特性とその働き
 ├食肉の種類と栄養成分

■調理法による栄養価の変化
 ├肉類を調理する理由

 ├加熱による食肉の変化
 ├食肉の調理による変化
 ├和牛と輸入牛肉の違い
■食肉とたんぱく質
 ├なぜたんぱく質を食べ
  なければならないか

 ├動物性たんぱく質が
  優れているわけ

 ├日本人と動物性たんぱく質
 ├「トピックス」
   食肉のたんぱく質

■食肉とコレステロール
 ├コレステロールとは?
   -体内における役割-

 ├体の中で作られる
  コレステロール
 ├コレステロールの体内移動

 ├コレステロールと
  脂肪酸の関係

 ├コレステロールと健康・疾病


 
 コレステロールと脂肪酸の関係  

 脂肪酸は、脂質の最も重要な構成成分で、主なものだけでも十数種類あります。飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸の3つにグループ分けされています(表1)。このうち飽和脂肪酸と一価不飽和脂肪酸は、主としてエネルギー源として働きます。一方、多価不飽和脂肪酸は、主に生理活性作用にかかわっています。これらの脂肪酸のあるものは、生体内での多様な生理活動の中で血中コレステロール値の上昇や下降にかかわっていることが明らかにされました。そして、コレステロールと脂肪酸の研究は近年急速に進歩し、これまでの概念を覆すような結果も得られています。



 従来から、動物性脂肪に多く含まれる飽和脂肪酸はコレステロール値を上昇させるのに対し、植物性の油脂には多価不飽和脂肪酸が多く含まれており、これが血清コレステロール値を下げると言われてきました。特に、多価不飽和脂肪酸の一つであるリノール酸は、体内で合成することが出来ないために、食事から摂る必要のある必須脂肪酸であることに加え、コレステロール値を下げる働きがあるということで、「最も健康によい油」と言われてきました。
 しかし、現在では研究が進み、多価不飽和脂肪酸の1つリノール酸は、構造的に不安定で酸化されやすい性質があるため、摂りすぎるとLDL肝臓への取り込みが障害されるようになり、血管内部に溜まって粥腫となって動脈硬化を起こすことがわかったのです。
 一方、食肉の主要な飽和脂肪酸であるパルミチン酸には、従来言われてきたコレステロールの上昇作用はないこと、ステアリン酸にはLDLを減らしてHDLを増やす働きがあることも確認されました。
 更に、コレステロール値とは関係がないとされていた一価不飽和脂肪酸のオレイン酸に、優れたコレステロール低下作用があることもわかりました。
 食肉の脂肪は表2に示すように、コレステロール値に影響を与えないパルミチン酸やコレステロール降下作用のあるステアリン酸、オレイン酸を主な成分としています。これまで、とかく敬遠されがちであった食肉の脂肪は、もっと見直されて良いと思います。



 生体内でエネルギーとして使われたり、生理活性物質として働いたりする脂肪酸ですが、偏った食べ方をせずにまんべんなく摂るようにすることが必要です。
 現在、脂肪酸の取り方に関しては、多価不飽和脂肪酸(P)、一価不飽和脂肪酸(M)、飽和脂肪酸(S)の摂取バランスを1対1.5対1になるような食生活をすることが勧められています。