食肉の栄養知識/食肉とコレステロール



■はじめに
 ├古代人は何を食べていた

■仏教の肉食禁止
■わが国の近世から現代の
 肉食と健康

■国際的な日本の位置
■栄養素摂取の日米比較
■ライフステージ別栄養
■長寿地域の食パターン
■食肉に含まれる栄養素の
 特性とその働き
 ├食肉の種類と栄養成分

■調理法による栄養価の変化
 ├肉類を調理する理由

 ├加熱による食肉の変化
 ├食肉の調理による変化
 ├和牛と輸入牛肉の違い
■食肉とたんぱく質
 ├なぜたんぱく質を食べ
  なければならないか

 ├動物性たんぱく質が
  優れているわけ

 ├日本人と動物性たんぱく質
 ├「トピックス」
   食肉のたんぱく質

■食肉とコレステロール
 ├コレステロールとは?
   -体内における役割-

 ├体の中で作られる
  コレステロール
 ├コレステロールの体内移動

 ├コレステロールと
  脂肪酸の関係

 ├コレステロールと健康・疾病


 
 体の中で作られるコレステロール コレステロールの体内移動

■体の中で作られるコレステロール---
 人間の体内では、1日に1gから1.5gのコレステロールが合成されています。通常、食物から摂っているのが0.3gから0.5gですから、食事由来のものの約3倍が体内で作られていることになります。生体にとって不可欠な物質だからこそ、そのような仕組みになっているものと考えられます。
 体内で作られるコレステロールの原料は、脂質、糖質、たんぱく質の3大栄養素です。これら3つの栄養素の分解過程で出来るアセチルコエンザイムA(アセチルCoA)がコレステロール合成の出発点です。コレステロールが作られる場所は主として肝臓で、小腸、副腎皮質、性腺などでも作られています。
 では、体内で作られる一方で、コレステロールを多く含む食品を食べると、血液中のコレステロールはどんどん増えていくのでしょうか。通常の場合、体には調節機能があり、食物中のコレステロールが体内に取り込まれると、肝臓でのコレステロールの生産が抑えられるのです。体内におけるコレステロール量の調節には幾つかの仕組みがかかわっていて、動的恒常性(ホメオスタシス)が保たれています。
 しかし、後で述べるように様々な理由からホメオスタシスが保てなくなり、高脂血症や高コレステロール血症を起こす場合があることも忘れてはいけません。



■コレステロールの体内移動---
─コレステロールを運ぶリポたんぱく質─
 食物に由来したコレステロールも、肝臓で合成されたコレステロールも、血流に乗って全身を移動します。コレステロールは脂質の一種なので、そのままでは血液に溶け込むことは出来ません。そこで、ほかの脂質と共にたんぱく質との複合体、リポたんぱく質となって血流によって移動しています。血液中のリポたんぱく質は、その比重によって次の4つに分類されます。カイロミクロン、VLDL(超低比重リポたんぱく質)、HDL(高比重たんぱく質)です。最も比重の重いHDLの成分を見ると、たんぱく質が40〜55%を占めていますが、最も比重の軽いカイロミクロンではたんぱく質が2%で、代わりに脂質が98%を占めています。このような成分の違いが比重の違いを生み、働きの違いをもたらしています。
 これらリポたんぱく質のそれぞれの働きを見ると、カイロミクロンは食物から吸収した中性脂肪を組織に転送しています。VLDLは、肝臓で作られた中性脂肪を組織に転送しますが、血液中で酵素の働きによってLDLに変化します。LDLには中性脂肪が約10%とコレステロールが40%ほど含まれています。LDLは体の各細胞にコレステロールを運ぶ役目をになっています。
 一方、組織の各細胞から余ったコレステロールを受け取り、肝臓に運んでいるのがHDLで、コレステロールの含有量は10〜15%程度です。
 LDLコレステロールは、コレステロールを各細胞に運んでいるため「悪玉コレステロール」、各細胞から肝臓にコレステロールを回収するHDLコレステロールを「善玉コレステロール」という呼び方が一般的にされていますが、これは正しい呼び方とは言えません。なぜなら、悪玉と呼ばれるLDLによってコレステロールは体内の各組織に運ばれ、細胞膜の成分となったり、ステロイドホルモンの原料となるなどの役割を果たしているからです。