食肉の栄養知識/
調理法による栄養価の変化


■はじめに
 ├古代人は何を食べていた

■仏教の肉食禁止
■わが国の近世から現代の
 肉食と健康

■国際的な日本の位置
■栄養素摂取の日米比較
■ライフステージ別栄養
■長寿地域の食パターン
■食肉に含まれる栄養素の
 特性とその働き
 ├食肉の種類と栄養成分

■調理法による栄養価の変化
 ├肉類を調理する理由

 ├加熱による食肉の変化
 ├食肉の調理による変化
 ├和牛と輸入牛肉の違い
■食肉とたんぱく質
 ├なぜたんぱく質を食べ
  なければならないか

 ├動物性たんぱく質が
  優れているわけ

 ├日本人と動物性たんぱく質
 ├「トピックス」
   食肉のたんぱく質

■食肉とコレステロール
 ├コレステロールとは?
   -体内における役割-

 ├体の中で作られる
  コレステロール
 ├コレステロールの体内移動

 ├コレステロールと
  脂肪酸の関係

 ├コレステロールと健康・疾病


 
 肉類を調理する理由  

 われわれは、食肉を調理して食べています。一般的には調理をすることは、食物としての安全性・栄養性・機能性・嗜好性を高めると指摘されています。しかし、食肉の調理の場合は、すべてそうとも言い切れぬ場合もあります。食肉を調理することは、その嗜好性を高める(良い香りがする、ジューシー感がありテクスチャーが良い、おいしそうな焦げの香りと色合い、うまみがあるなど)ことによって、それを食べて、咀嚼し、嚥下するわけです。その過程を通じ、体内における代謝、消化・吸収性にも関与しながら、食欲の充足や精神的満足へと展開していくからだと思います。地域や民族によって差異はありますが、一日3回の食事は、単なる栄養の充足のみではなく、まさに頭と心と体への満足へと深くかかわっています。
 調理法の特徴を表9に示しました。電子レンジによる誘電加熱法を除き、湿式加熱法と乾式加熱法の大きな違いは熱媒体の種類(水か油か空気か)と加熱温度・時間の差(急速加熱か緩慢加熱か)であります。食肉にとっては受けた熱(高温か否か)を如何に内部に伝えるのかの、速度の違いがたんぱく質や脂肪を主成分とする筋肉組織の変性に影響を及ぼすことになります。

 電子レンジを利用した加熱では、マイクロ波(電磁波)によって、食品内部の水分子を振動させて発熱する摩擦熱で、食品自身が加熱されることになります。多くの食品の場合、発熱の程度は食品中の水分量に支配されています。水はマイクロ波の吸収効率が高く、油は吸収効率が低くなります。食塩などの塩分を含む食品では、内部に熱が到達しにくいので、表面が高温になります。いずれにしても、肉を均一な加熱加減に仕上げることは、なかなか難しいようです。しかし、少量単位の加熱であれば、加熱時間が少なく、栄養成分の損失は小さくて済みます。表10に参考までに、物質の誘電損失係数および半減深度を示します。なお、電磁誘導加熱である電磁調理器加熱は、強磁性体(鉄、ほうろうなべ、ステンレス系)の材質でなべの底部が平らであれば、乾式・湿式加熱のいずれにも対応できます。高出力の電磁調理器を使えば、加熱速度が早まりますが、調理の目的に応じた出力の設定が重要と思われます。