食肉の栄養知識/食肉に含まれる栄養素の特性とその働き



■はじめに
 ├古代人は何を食べていた

■仏教の肉食禁止
■わが国の近世から現代の
 肉食と健康

■国際的な日本の位置
■栄養素摂取の日米比較
■ライフステージ別栄養
■長寿地域の食パターン
■食肉に含まれる栄養素の
 特性とその働き
 ├食肉の種類と栄養成分

■調理法による栄養価の変化
 ├肉類を調理する理由

 ├加熱による食肉の変化
 ├食肉の調理による変化
 ├和牛と輸入牛肉の違い
■食肉とたんぱく質
 ├なぜたんぱく質を食べ
  なければならないか

 ├動物性たんぱく質が
  優れているわけ

 ├日本人と動物性たんぱく質
 ├「トピックス」
   食肉のたんぱく質

■食肉とコレステロール
 ├コレステロールとは?
   -体内における役割-

 ├体の中で作られる
  コレステロール
 ├コレステロールの体内移動

 ├コレステロールと
  脂肪酸の関係

 ├コレステロールと健康・疾病


 
 食肉の種類と栄養成分  
 ┃筋肉組織の構造食肉の成分(1.栄養成分とその特性)食肉の成分(2.嗜好成分とその特性)


食肉の種類---
 日本で普通に食用として供されている獣鳥肉類の種類は、次のように分類されています。畜肉とは、と畜場法に基づいたと畜場で、と殺・解体された家畜の肉、牛、豚、馬、羊、やぎの5種類があります。獣肉とは、畜肉以外の食肉のことです。わが国で食されているものは、イノシシやシカの肉です。シカ肉はフランス料理では高価な料理に使われ、冷凍肉が輸入されています。家禽肉とは、肉や卵を得る目的で飼育される鳥の肉で、鶏、七面鳥、ウズラ、アヒル、合鴨(野生の真鴨とアヒルの交配種)などです。野鳥肉とは、家禽肉以外の鳥類の肉のことです。鴨、キジ、スズメ、ツグミなどです。近年、獣鳥保護のため禁猟種も増え、狩猟期間や量を限定されています。そのほかに、ウサギ、カエル、スッポン、クジラなどは地域によって食されていますが、前述の分類には入っていません。これらの中で、わが国で生産量が多いのは、牛、豚、鶏で生産量の約99%を占めています。摂取量は、豚肉、鶏肉、牛肉の順です。平成3年の牛肉の自由化に伴い、牛肉の消費量は肉類の中ではかなり伸び率が高くなっています。

食肉の構造と成分---
 食肉として利用されるのは、主として家畜、鳥類などの筋肉ですが、副生物としての内臓類、皮、血液なども用いられています。それらの衛生管理は、獣医師であると畜検査員によって行われています。平成8年の腸管出血性大腸菌0157による食中毒事件以後、更に細心の注意が払われ、管理されています。
 食べもののおいしさを構成する要因を分析すると、図1のようになります。これを食肉について、調理をして食べる面からおいしさにかかわる要因を具体的に考えてみますと、食肉のテクスチャー、すなわち硬さ・軟らかさ、ジューシー感(多汁性)などが関与し、食肉の品質がおいしさを左右する重要な条件となっていることが分かります。これらは筋肉組織の構造によって決定されます。また、食肉のおいしさを左右する味や香り(フレーバー)、肉の栄養価は食肉の成分によって影響を受けます。一方、食肉を調理して食べる人間側の受容性から肉のおいしさを見れば、生理的・心理的要因のほか、後天的・環境的要因、例えば、食習慣、学習などによって刷り込まれることもおいしさの形成に深くかかわっています。

図1 食べ物のおいしさを形成する要因

出典:川端晶子ほか:調理学、p.27、建帛社、1995