食肉の基礎知識/



■家畜の生産から食肉が出来るまで
■食肉生産にかかわる先端技術
■食肉の衛生検査
■食肉の格付制度
■食肉の販売に関する衛生
■安全な食肉管理知識・Q&A
■食肉の流通−肉畜から食肉へ
■UR後の牛肉・豚肉の輸入制度並びに需給を巡る情勢
■HACCPってなに?
■輸入牛肉
■小売店頭の新しい販売動向
■牛豚肉の品種別特性
■食肉の見分け方と選び方
■食肉の部位別特性と料理用途
■食肉の品質保持と扱い方
■食肉の熟成について
■食肉小売品質基準
■資料・牛の栄養成分表


 
 食肉小売品質基準  


制定の経緯

「食肉小売品質基準」とは、消費者が食肉小売店にて牛肉や豚肉を購入するとき、適正な商品選択が出来るようにするための農林水産省が、畜産局長通達をもって食肉小売業界に対する指導行政の一環として定めたものです。
 昭和40年にわが国の食肉消費量は100万トンの大台を突破し、国民食料として重要な地位を築くに至りました。小売り段階における販売表示は、それまでの少量消費時代においては、上肉、中肉、並肉のような表示が一般的で、抵抗なく消費者に受け入れられていました。
 東京オリンピック開催の昭和39年あたりから、すべての消費物資について、消費者保護の観点から適正な品質の表示と販売に対する要望が、製造産業、商業界などに対して広がり始め、食肉も当然その対象となりました。
 これがいわゆる消費者パワーの台頭であり、各種の消費者団体の結成が相次ぎ、その運動も次第に活性化の様相を呈していました。食肉業界において、当時幾つか問題になっていたことの1つに、ニセ牛缶事件がありました。これは、牛肉大和煮、牛肉コーンビーフなどの缶詰に、本来使用すべき原料である牛肉に対して、廉価な馬肉を平然と使用していたことが問題となりました。
 また、混合されて調整されるひき肉についても、消費者サイドから疑念の声が上がり始めました。すなわち、ひき肉に使用される原材料名も明示されないまま「合いびき肉」なる呼称で販売するのは問題だと言うことです。
 これらは、いずれも消費者が正しい商品選択が出来ないのみか、表示の印象からは誤った商品知識を消費者に与えることになり、消費者保護の観点で極めて問題ある事件として取り上げられました。
 食肉の消費量は今や600万トンを超え、国民の主要な食料として、地位を占めるに至り、より責任ある販売体制でこれに対応する必要性が出てきました。牛肉、豚肉共に部位別に特質がありますが、その特質を生かした料理法を、消費者に知ってもらう必要があり、テレビ、雑誌、新聞などで食肉及び食肉料理についての知識啓蒙が活発に行われるようになりました。
 部位の特質を十分生かした使用方法こそ、おいしい料理を作る原点であります。また、それは、より消費者に高い経済性も還元できることになります。
 このような観点から食肉小売品質基準は、牛肉、豚肉とも部位表示を大原則としていますが、更に料理向き用途表示を併記して販売されているのが一般的です。