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 食肉の流通 −肉畜から食肉へ−  


価格安定制度 -1-

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食肉の価格安定制度の概要---
 わが国では、重要な食肉である牛肉と豚肉について「畜産物の価格安定等に関する法律(関係者は、省略して「畜安法」と呼んでいることからここでみ「畜安法」と呼ぶことにします)」に基づく価格安定制度が設けられています。また、畜安法では牛肉及び豚肉の両者を指して指定食肉と呼んでいます。
 畜安法の目的は、指定食肉の卸売価を安定させることにより、価格の乱高下を防止し、消費者に対する指定食肉の安定供給と生産者の経営安定を図ることにあります。
 指定職肉の価格安定制度の特徴は安定価格制度にあります。これは、指定職肉の価格を安定上位価格と安定基準価格の間(これを安定帯と呼びます)に安定させるため、農畜産業振興事業団(以下「事業団」と呼ぶことにします)による需給操作などを行う制度です。
 安定上位価格と安定基準価格は、生産条件、需給事情などを考慮して年度ごとに農林水産大臣が決定することとなっています。農林水産大臣はこれらの価格を決定する際に、畜産振興審議会の意見を聴くことになっています。
 また、指定食肉の価格安定制度とは別の制度ですが、国産食肉の資源である肉用子牛(和牛の子牛など牛肉生産を目的に生産される子牛)及び肉豚の国内生産の安定を図るための制度も設けられています。
 これらの制度は、指定食肉の価格にも密接に関係しますので、ここではこれらの制度についても触れていくこととします。

牛肉の価格安定制度
●経 緯
 牛肉は、高度経済成長を背景として、需要が増大していましたが、昭和47年には一時的な需要の増大に伴って需給の不均衡が生じ価格が高騰しました。逆に昭和48年にはオイルショックを契機に需要が停滞したことから、一転して価格が暴落する事態となりました。
このため、昭和50年に「畜安法」を改正して、牛肉を価格安定制度の対象としました。

●自由化以前の価格安定制度
 ご存じの方もいるでしょうが、牛肉の輸入は、平成3年3月までは、事業団(当時は「畜産振興事業団」と呼んでいました)が一元的に行っていました。牛肉の価格安定は、主として事業団が食肉卸売市場などで売り渡す輸入牛肉の数量をコントロールすることによって実施してきました。
 具体的には、価格が高騰した場合には、売り渡し数量を増やして流通量を増加させることにより価格を下げ、逆に価格が暴落した場合には、売り渡し数量を減らすか売り渡しを停止することによって流通量を減少させて価格を回復させていました。
 それでも価格が回復しない場合には、市場などから牛肉を買い入れて保管する調整保管の実施により、流通量を減少させることも可能となっていました。このような方法をとることにより、牛肉の卸売価格を安定価格帯におさまるようにして、価格の安定を図ってきました。

●輸入自由化後の価格安定制度

平成3年4月1日の牛肉の輸入自由化以降、牛肉の価格安定制度は大きく変化しました。すなわち、事業団による一元的な輸入が廃しされ、定められた関税を払えば誰でも自由に牛肉を輸入できるようになりました。
 このため、それ以前のように輸入牛肉の流通量をコントロールすることによって価格の安定を図ることが困難となったのです。
 そこで、輸入自由化以降は、次の3つのポイントを中心に価格の安定を図っていくこととなりました。
生産の安定
 牛肉価格の安定を図るには、国産牛肉の資源である肉用子牛の生産を確保して国内生産を安定化させることが重要となります。
 しかしながら、輸入自由化に伴い牛肉の供給過剰が生じやすくなり、肉用子牛の価格及び生産に悪影響が生じることが懸念されました。
 このため、輸入自由化後におけるわが国の肉用子牛生産の価格などに及ぼす影響に対処し、肉用子牛生産の安定そのほか食肉にかかる畜産の健全な発達を図ることを目的として、昭和63年に肉用子牛生産安定等特別措置法が制定されました。平成2年度から、従来から実施していた肉用子牛価格安定事業を拡充強化した肉用子牛生産者補給金制度が設けられました。
 この制度の仕組みは、あらかじめ、都道府県ごとに設けられた肉用子牛価格安定基金協会と補給金交付契約を結んでいる生産者に対し、肉用子牛の平均販売価格(四半期毎に全国ベースで算定する)が保証基準価格(農林水産大臣が毎年度定める)を超えて低落した場合に、その程度に応じて補給金を交付する制度です(図5)。
 なお、保証基準価格についても、指定食肉の安定上位価格などと同じく畜産振興審議会の意見を聴いたうえで定めることとなっています。

適正な輸入
 肉用子牛の生産が安定しても、需要に見合った輸入が実施されなければ、需給と供給のバランスが崩れて、牛肉の価格が暴落したり逆に暴騰する可能性があります。そのような事態を回避するためには、国内外の生産及び消費の動向を把握して、需要に見合った秩序ある輸入が行われるようにすることが大切です。
 牛肉の輸入自由化が決定した昭和63年に「畜安法」を改正して事業団の業務に畜産物に関する情報の収集提供が追加されました。この改正に基づいて、事業団は牛肉に関する国内及び国外情報を収集分析し、定期刊行物などを通じて情報をフィードバックしています。

調整保管
 これまで述べてきた方法により需要と供給のバランスをとり、価格の安定を図るように努力していても、為替相場の急激な変化など、予期せぬ変動により牛肉の価格が下落することが考えられます。
 このため卸売価格が安定基準価格を超えて暴落するかその恐れがある場合には、国内の卸売価格の安定を図るため事業団が一定の牛肉を市場から買い入れて隔離し保管する調整保管を行うことが可能となっています。
 なお、買い入れた牛肉は市況が回復したり、価格が安定上位価格を超えて高騰した時に放出し、価格を下げる仕組みとなっています(図6)。



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