食肉の基礎知識/



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 牛豚肉の品種別特性  
  牛和牛乳用牛・外国産肉専用種・国産牛の雑種・牛の飼育条件及び環境について
  豚豚の飼育条件及び環境について
   ┃食肉の安全性について


 牛・豚ともに、食肉生産の目的のために肉専用種としての品種改良が逐次進められています。
 牛も世界的に見れば、たくさんの品種が散在していますが、その土地の気候風土によく順応する在来種を主体に、それぞれの地域で改良が進められ今日に至っています。
 日本で生産される牛肉は、肉専用種の黒毛和種を代表とする「和牛」と、牛乳生産のため飼育されているホルスタイン種を代表とする「乳牛」に大別されます。これらの交雑種が、最近相当生産されるようになりました。また、北海道などの一部地域で、肉専用種の外国種が若干飼育されています。


●和牛---
 黒毛和種の改良前の在来種は、農家の重要な労働力として田畑の農耕作業や運搬用に、また厩肥の生産も大切な役割として大事に飼育されていました。
 しかし、朝鮮動乱が終結した頃から、日本経済も力強く復興を遂げ始め、昭和30年初頭から逐次動力耕運機が登場し、牛馬は使役目的から遠のいていきました。
 この頃、駐留米軍へ牛肉の納入業務が始まりました。芝浦と場を中心とした牛肉問屋が業務提携をし、去勢牛を原則的に納入する業務を行っていました。
 この頃、牛枝肉の1頭当たりの重量は約200kgで、現在と比較すると約半分の重量しかありませんでした。大型化が進んだのは、従来までの和牛を使役用から肉専用種にするための品種改良が行われた結果です。
 特に、黒毛和種の改良の歴史は明治時代から始まっていて、ヨーロッパの在来種であるデボン、アンガスなどとの交配が試みられました。このほか和牛と称するものとして、「褐色和種」「無角和種」「日本短角種」などがあり、ブラウンスイス、シンメンタール、ショートボーン種などと交配しつつ、わが国の気候風土、また日本人の嗜好に合うように改良されたものが現存しているのです。
 和牛の代表格の「黒毛和種」は、和牛全体の90%位を占めています。松坂、近江牛のように古来銘柄牛肉として名高いものは、すべてが黒毛和種です。よく肥育されたもののリブロースの断面を見ますと、鹿子模様の見事な脂肪交雑が入り、霜降り状態となっています。肉質は、きめが細かく軟らかく、風味とも絶品と言えます。世界的に見ても、まさに牛肉の王者であり、日本が世界に誇る農産物の特産品であります。
 この銘柄和牛は全国各地に名乗りを上げ、中央畜産会の平成7年調査では全国で153の多きを数えるに至っています。しかし、真に内外に高い評価を受けるものは、はるかに少なく約1割程度かもしれません。「褐毛和種」は、主として熊本県と高知県で飼育されていて、いずれもその起源は韓牛と言われています。その後の改良過程で、熊本県ではデボン種、続いてシンメンタール種で交配を重ね、現在の肥後の「あか牛」と言われている肥後牛の元が作られました。
 高知県では、韓牛との純粋交配が行われ、一時シンメンタール種も導入されました。その後は、韓牛との交配により、高知県の褐毛和種として定着しています。肥後牛に比べ、後躯部がよく発達し比較的短躯であることが特徴です。
 また、「日本短角種」は、青森県、岩手県にて主として飼育されています。在来の南部牛に、主としてショートホーン種を交配して作られ、頑健な体と粗飼料にての飼育に適していて、山地への放牧が主体となります。ただ、肉質的には、黒毛和種との比較では低位ではありますが、生産コストの見合いでは、低コスト牛肉の生産基礎を持っています。
 また、「無角和種」は山口県萩市を中心とした狭い地域で飼育され、従来の黒毛和種にアンガス種を交配して作られたものです。