畜 産 講 演 会
「それでも食べますか」
(輸入食品を分析してみると)

1.日  時平成14年12月17日(火)13:30〜
2.場  所熊本県上益城郡益城町福富1010
グランメッセ熊本  2Fコンベンションホール
3. 参集範囲熊本県内畜産関係者及び消費者 200名程度
4.講  師農民運動全国連合会(農民連)食品分析センター所長
石黒 昌孝先生
5.講師の略歴1931年東京都生まれ
横浜・東京税関で40年間輸入食品の検査分析を担当。
現在、農民運動全国連合会(農民連)食品分析センター所長、税関行政研究会会長。
共著に 「飽食日本とアジア」(家の光協会)、
「安全な暮らし方辞典」(緑風出版)、
「これで分かる農薬キーワード辞典」
「輸入食品のすべて」(合同出版)、
「増えている輸入食品」(食べ物通信社)がある。
6.その他入場料無料
主催:社団法人 熊本県畜産会 協力:熊本県農政部畜産課

 

◆◆◆  講  演  内  容  ◆◆◆

「考えよう子どもの健康!怖い輸入食品の実態’02.12.17食の安全と日本農業を守ろう」


1.輸入野菜などの農薬汚染。加工品は検査なし
  1. 冷凍野菜から農薬残留違反を発見。ファミレスのホウレン草ソティから違反農薬を発見。厚生労働省を動かし冷凍野菜の検査をさせる。続々違反を発見。東京都や各自治体も違反を確認。回収命令。全品命令検査。
  2. 遂に冷凍ホウレン草の輸入ゼロに。世論と運動の力。輸入禁止ができるよう食品衛生法改正を実現した。国民の健康が取り返しがつかない。いまでも10%のモニター検査、加工品は基準がないからと検査なし。
  3. 冷凍枝豆、マツタケ、刻みネギ、セロリー、カリフラワーなど違反続出。中国では47.5%が違反。
  4. 赤ちゃんの食べ物にまで農薬。冷凍枝豆から基準値以上の農薬、ゴボウから3倍以上のBHCを発見。各社のハンバーガーのパンから有機リン系農薬マラチオンを発見。学校給食パンからも農薬を発見。果物のイマザリル、ジャガイモの除草剤、穀物、野菜、果物に農薬残留。輸入品は生産状況が不明。
  5. 安全基準の緩和。大豆グリホサート、果物24−Dなど基準が改悪。沢山農薬が入っても輸入できる。
2.無登録農薬の問題をどう考えるか
  1. BSEの時と同じ。登録失効農薬は東アジアから輸入品。政府が輸入阻止する責任果たさず、悪質販売業者の横行を見逃す。登録失効など農民に知らせていない。政府、県の責任は重く失政。山形県で92年問題に。台風被害。農薬取締法はザル法。農薬失効後の回収責任不明。ナフサクは外国で許可。輸入チェックなし。
  2. 登録失効農薬は使用しない。使用した農作物は出さない。使用していない農家のものは不使用を明確にし必要で検査を行うなど安全を確認し出荷できるようにします。農民連は使用農薬など生産履歴を明示します。
3.他の輸入食品の危険な問題点添加物たっぷり
  1. アメリカ食品牛の半分はO−157汚染(牛肉)コレラ菌(エビ、魚介)、新型サルモネラ菌、カンピロバクスター、VRE菌(鶏肉、ひよこ等)、ボツヌルス菌(オリーブ、調味料、漬物)リステリア菌(チーズ、ハム等)ウエルシュ菌、腸炎ビブリオ(魚介類)出血熱、真菌症など細菌汚染の増加。耐性菌が増加が特徴。
  2. 抗生物質、合成抗菌剤(養殖魚介、肉類)ホルモン(肉類)環境ホルモン(農薬等1兆分の1でも作用)
  3. カビ毒、アフラトキシン。(熱帯亜熱帯産物)プリオン。狂牛病。口蹄疫。
  4. 添加物の使用が激増。1日1人12〜15g。輸入加工品には添加物がいっぱい。
  5. ブロッコリーなど輸入品は栄養も少ない。
4.腐敗堕落の偽装や不正表示は許せぬ
  1. 雪印、日本ハム、ミスド、協和化学。
  2. 食の輸入依存が原因。安全よりもうけ。モラルハザード。
  3. 行政の無責任な態度を改めさせ。外国のいいなりは問題。食品衛生法の抜本的改正が必要。
  4. トレースアビリティ(生産から加工、卸、小売、消費者)透明性を確立する。産直運動の重要性。
  5. 塩の添加物の違反から公認へ。新たに30品目を職権で増やす。72年度の添加物を減らす国会決議違反。
  6. 加工品の原産地はすべて表示させる。添加物をすべて表示させること。製造年月日を表示させることが重要。
5.食品材料は輸入品が殆ど。激増する加工食品輸入。

マックをはじめ外食やスーパーで売っている調理品は輸入品が原料。激増する加工輸入食品。低下する自給率。カロリーで39%、穀物で26%。開発輸入で儲ける。加工品は原産国表示がない。塩蔵野菜、山菜がふるさとの味に生まれ変わる。泥付ゴボウ。キンピラ材料、キンピラ。筑前煮材料。カット野菜。魚すりみ製品は国産。コンビニ弁当の中身をみると添加物ばかり。穀物、今年までに外米370万トンも輸入。自給率、ソバ13%、トウモロコシ1%、麦11%、大豆5%、落花生25%、エンドウ豆5%、菜種0.05%。野菜の激増。生鮮野菜が中国から。冷凍野菜は9割が輸入品。果物、果汁の激増。国民1人5.4リットルも輸入。牛肉、自給率35%。チーズ14%。魚介類、サケマス45%、タコ・カニ30%、ウナギ25%。

6.BSE(狂牛病)発生は国の責任、万全の対策を

異常プリオンが、脳・脊髄等集積し死ぬ病気。2〜8年潜伏期間。異常プリオン汚染の肉骨粉等の経口感染。 90年英国の書簡。96年にWHOの勧告通りに牛骨粉の輸入と使用禁止すれば発生せず。重大な失政と断定。畜産農家と焼肉屋等国民に与えた損害は莫大。国の責任は重大。全頭検査と特定の部位の焼却で安全確保が重要。交雑牛、ホルオス牛が価格が安く損害。酪農家も乳廃牛が出せず大変。損害補償、原因究明、万全対策が必要。たたかいでBSE特別法成立。内容充実を。危険な輸入肉を安全だなどというアメリカの宣伝は許せない。

7.遺伝子組み換え食品を七百万トン以上輸入。

  1. 有機豆腐、納豆から組み換え3割発見。安全が問題。大豆、菜種、トウモロコシ、ポテト調整品、綿。
  2. 殺虫性組み換えジャガイモでラットの腸に腫瘍ができる。(イギリスプシュタイ教授)。トウモロコシで蝶の幼虫が死亡(アメリカコーネル大学)など安全が問題に。
  3. 未承認のスターリンク(組み換えトウモロコシ)が食品に混入。
    1. スターリンク汚染が種子に。
    2. チェックが出来ない。
    3. EPAは安全性で黒と認定。
    4. 未承認ポテトの輸入。
  4. 分析センターで、組み換えトウモロコシ、大豆を発見。
  5. 組み換え稲の栽培反対。
 

8.輸入品の安全チェックは素通りが実態

厚生省検疫所の行政検査3.4%、全体で7.2%。一度合格で1年間は検査省略。牛肉の検査、僅か1.5%。関税、簡易通関制度の導入。大商社のものは無検査。国民の命よりも、急ぐ荷物の引き取り。殆どモニタリング検査なので市場流通。汚染や違反が判っても。事後なので、すでに国民の胃の中。

9.子供の健康がおかしい。こどもの45%がアレルギー

学校養護の先生が見た問題点。
  1. アレルギー。
  2. 視力の低下。
  3. 自律神経調節。
  4. 噛めない、肥満・糖尿。
小学3年生3割以上が再検査(茨城)小学生〜高校生、45%がアレルギーと医師が診断。国民全体でも3割がアレルギー。ガンで3分の1が死亡。原因は食べ物。ペットボトル症候群。外食と調理品、肉と油が多い。

10.輸入激増で、農家も、消費者も大変

米の暴落。1俵6千円以上も下落。外米の輸入が原因。小泉改革の農業版、米政策は、外米を増やし、価格保障を打ち切り、減反を増やし、農地まで大会社が支配、主食を守る国の責任を放棄、3百万農家を40万に。
稲経、補てん、8割から4割に。転作補助金廃止10アールが9百円に。余り米1俵3千円融資。許すな米改悪。
野菜も果物も暴落。中国から輸入の激増が特徴。低賃金を利用した開発輸入。農家はやっていけない。農林水産業の収入減で地方は大変な事態。世論の力と国民の要求がついに動かしたネギ、椎茸、い草の史上初の暫定セーフガードを発動も、小泉内閣に潰された。アメリカでは千億ドルも農業に援助。EUでは手厚い価格保障と条件不利地域や青年後継者への補助。自分の国の農業を守り、できたものを大事にするのは国民の常識。
食糧主権、農業を守ることは日本民族の課題。多国籍企業のためから、各国の食料主権を保障するWTO農業協定の改定を求める声は世界の流れ。日本に食料生産をやめ輸入を増やせというWTO協定は改定しかない。
輸入に対抗し、ものを作って国民の健康を守る。セーフガードの発動、農産物の価格保障が重要。外米の輸入の廃止。青年就農し者への補助。中山間地の所得保障。SPS協定の改定。安全基準を厳しくする。

11.農民、消費者の運動が、国民の健康を守る

輸入でボロ儲けする多国籍食品企業。雪印食品、日本ハムの偽装は許せない。リストラで安全より儲け。酷い状況を広く知らせ交流を。農民と消費者の産直運動を前進させ原点に返って安全を守ることが重要。
根元はWTO協定。政府は輸入を最優先で農業を犠牲にしてでも商社、大スーパーのいいなり。やるのは生産制限と輸入推進。このままでは、農業は大変な事態に。国土は荒廃。国民の健康は危ない。
ライフエリアを守ろう。国産が手に入らない。市場、卸、小売店を含めて国産を守る。国民は安全な国産を望む。内閣府調査90%が国産を望む。破壊される食を、みんなの手で旬のある日本の食文化を守ろう。

12.共同を広げ食と農を守る運動を

いま、全国各地で農業つぶしの米政策に反対して決起集荷が開かれ立ち上がっています。農家も、農協も、農業委員会、自治体も一緒になって共同を広げています。12.4中央行動を全力で成功させよう。消費者の共同した運動が国民を守る。消費者団体、NGOとの共同を。高まる産直の役割。期待に応えて。運動を大きく発展させよう。日本の食文化は宝。子供を守るため、学校給食に地元の産品を。
伝統のある新婦人産直の発展が、歴史を切り開く。いま改めて、生産履歴のはっきりした安全、安心産直を。
伝統食の良さを大事に。米、大豆、みかん、りんご、お茶はガンを防ぐ。国産で安全と健康を守るため、国民の運動を一層の前進させよう。食健連運動は大きく広がっている。
FAOでも、8億人以上の飢餓は減っていないとし、五割減を改めてよびかけ。いま食糧を作ることが、自給率を上げることが国際貢献です。

13.食品分析センターに応援を

食品分析センターの発表した結果は大きな反響をよび、国民の安全を守る上で大きな役割。国民の期待に応えて輸入品や大企業の製品や国産品の安全をチェックしています。重金属分析機器導入などカンパを要請中。世界に例のない農民、女性、消費者、国民の手でできた分析センター、企業に遠慮なく結果を発表できる貴重な組織です。ハンバーガー、ベビーフード、野菜、果物、小麦に農薬が残留、国民の期待にこたえて農民のつくったものの安全や栄養成分などを確かめ健康を守るため、誇りをもって頑張っています。一層の応援を。

14.力をあわせみんなでくらし、健康を守ろう

藤田社長の発言「12歳までに味を覚えさせる」米を中心に野菜、魚、豆など旬のある食文化で健康を守る学校給食を地元産に。「身土不二」農消共同を。小泉内閣の構造改革は破壊だけ。外国で生産し、儲けるのが財界。福祉、農業は無駄と攻撃。福祉型の公共事業や個人消費を増やすことが重要。輸入品を買っても多国籍企業を儲けさせるだけ。国産を増やす。輸入に負けないで、農業を守り、国産を増やすこと、医療、福祉、平和を守ることが日本を守る。国民の期待に応え、郷土、地域の特色をいかす。食文化、安全安心を共同で。



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