日時:平成14年 3月 7日
場所:熊本県農業研究センター 講堂


BSEから持続的循環型畜産を考える
演題:BSEと食品の安全性確保

株_林中央金庫総合研究所
取締役 基礎研究部長 
蔦谷栄一  先生

平成13年度食肉処理衛生管理向上事業
講 演 会 資 料

































BSEと食品の安全性確保

−デンマークの取組実態を参考にして−


1.BSEの我が国での発生にともない牛肉消費は落ち込み、畜産農家の経営を直撃している。

2.BSE、口蹄疫、雪印乳業食中毒事件等、食品をめぐる重大事故が増加しているが、その背景には濃厚飼料多投型の畜産経営、農畜産物流通加工の集中化、流通の広域化、「食のマクドナルド化」等の構造的問題が潜んでいる。

3.BSE発生等にともない、政府は「安全宣言」やら大臣による試食会等によって、消費落ち込みに歯止めをかけるのにやっきになっているが、消費者が納得感を持てる安全に関するシステム確立こそが急がれるのであって、背景に潜む構造問題を踏まえての安全性確保のためのシステム確立が必要である。

4.我が国に大量の豚肉を輸出しているデンマークでは、食品衛生管理に関する制度・体制の構築、行政、獣医、生産農家、関係団体の密接な連携、獣医の衛生現場への日常的な関与、品質管理と一体化されたトレイサビリティの確立、さらには家畜福祉の重視、環境への配慮等多角的・有機的な対策が講じられ、世界でも最も進んだ食品衛生管理体制を作り上げている。

5.我が国畜産を守っていくためには、こうした輸出国と同等以上の安全性確保に努めていく必要があり、このためには食品衛生管理体制の強化はもちろんのこと、飼料需給構造の改善、家畜福祉の重視、地産地消の推進等への取組みが求められ、こうしたことを踏まえて今後の我が国畜産経営のあり方をも見直していくことが必要である。